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ジェトロ対日投資関連スピーチ バンコク対日投資セミナー 基調講演

2015年5月29日

ジェトロ理事長 石毛 博行

はじめに

プリディヤトーン・テーワクン タイ王国副首相、スパン・モンコンスティー JSCCIBタイ商業・工業・金融合同常任委員会会長、ガン・トラクンフン サイアム・セメント・グループ社長兼CEO、ならびにご列席の皆様、本シンポジウムにご参加いただき有難うございます。日本側主催者を代表してお礼申し上げます。

皆さん、日本を代表するサッカー選手、本田圭佑が所属するイタリア1部リーグ(セリエA)のACミランをご存知ですか?タイで投資ファンドを経営するビー・テチャウボンさんが買収交渉中であると報道されています。うまく行けば、タイのおカネと日本の人材による「日・タイ連携」の新しいモデルになるかもしれません。
時代は変わってきました。
日本とタイの交流は、600年前に始まりました。当時、首都アユタヤには、日本人町がありました。正式な国交は1887年の「日・タイ修好条約」から始まります。これは日本政府が東南アジア諸国と外交関係を結んだ最初の条約です。
日・タイ間の交流の長い歴史は、現在の緊密な経済関係に反映されています。タイにとって日本は最大の貿易・投資相手国であり、日本にとってタイは東南アジア最大のビジネス拠点です。約4,000社の日本企業が拠点を構え6万人ほどの日本人が在住しています。日本からの渡航者は(米国、中国、韓国、台湾に次ぐ)世界第4位の年間130万人(2014年)に上ります。タイに勤務した日本人から「またタイに戻りたい」という声をよく聞きます。辛いタイ料理に加え、礼儀正しいタイの人々との洗練されたお付き合いも懐かしく感じるようです。

なぜ今、日本への投資

タイの対内直接投資で日本は最大の投資国で、全体の6割以上(2013年、認可ベース)を占めています。

かつて日・タイ間の投資というと、日本からタイという一方向のみの議論でした。それが、何故今、日本への投資なのか?逆ではないか?多くの方が持つ疑問でしょう。先ずは、そんな疑問にお答えしましょう。

第一に、タイは、投資の出し手として重要な役割を担いつつあります。タイは直接投資において2011年と2012年に資本流出が資本流入を上回り、資本の受け手から出し手に、すなわち、タイは『対外直接投資のステージ』に入りつつあるといえます。

第二に、中所得国から高所得国への発展過程にあるタイが、その投資先に日本を含めるのは自然なことです。昨今の日本へ投資について、資本の出し手としてアジア諸国の存在が大きくなっています。

2014年の対日直接投資額(フロー・ネット)の6割はアジア諸国からの投資です。相手国別には、米国に次ぐ第2位は香港、3位シンガポール、4位台湾が続き、タイも第10位に入っています。今のところタイ企業の投資先はASEAN域内が中心ですが、欧米の企業を買収する大型の投資案件も出てきています。日本への投資ももっと増えるはずです。

第三に、切掛けが与えられたことです。この2月に私は、政権発足後初めて訪日したタイのプラユット首相と会談しました。わが国とタイの経済関係の強化に向けた方策について意見交換をしました。

この首相訪日の時に、ジェトロは、タイ企業の対日投資での連携を強化するため、『タイの経済3団体からなる商業・工業・金融合同常任委員会』との間で、MOUを締結しました。安倍首相とプラユット首相の立会いの下でMOUを交換しました。

本日は、このMOUに基づき、皆様に日本への投資を考えていただくセミナーを開催するものです。

アベノミクスは日本を変えた

しかし、何故日本なのか? 日本は低成長で投資のリターンも低いのではないか?という疑問があるでしょう。日本経済の現状についてお話します。2012年12月にスタートした安倍政権は、「経済の再生」を最大かつ喫緊の課題とし、「アベノミクス」と呼ばれる経済政策を実施しています。

アベノミクスは、大胆な金融政策、機動的な財政政策、 民間投資を喚起する成長戦略の3つを基本方針としており、安倍総理は「三本の矢」と表現しています。2年が経った今、GDP成長、企業の経常利益、景況感、株価、求人倍率など全て好調です。3年前とは様変わりです。

企業業績の改善が投資の拡大を呼び、賃金を上昇させる。その結果、消費が拡大し、それが企業業績を更に引き上げるという、経済の好循環に入りました。多くの企業関係者はそう実感しています。この好循環を持続的成長につなげる鍵は、第三の矢「成長戦略」です。その中心は「岩盤規制」の改革です。これが新たな市場を生み出しています。

60年間変わらなかったエネルギー部門で、電力の地域独占体制が崩れることを、誰が想像できたでしょうか。事実、小売市場は来年自由化されます。既に、チャオ・スティール(Chow Steel)などが、日本での太陽光発電事業への参入しております。この点は後ほど、森原さんから詳しいお話があるでしょう。
また、戦後一貫して続いた農協体制にメスが入ることを誰が想像できたでしょう。
薬事法改正で承認手続きが大幅に改善されました。日本は医薬品・医療機器を開発するのに最適な場所の一つになりました。
3年前、日本がTPP交渉に参加するなど予想されませんでした。
皆様に身近なところでは、2013年7月から、タイからの訪日客に対しビザを免除しました。以来、タイからの旅行客は、2013年は前年比74%増の45万人、2014年は45%増の66万人に上り、今も増加し続けています。

安倍政権の構造改革はこれから加速します。本格的な効果はこれからなのです。

投資先としての日本:4つの魅力

それでもなぜ日本への投資なのか、まだ疑問をお持ちですね。ここで投資先としての日本の魅力を4つだけ挙げます。

第一は洗練された巨大な市場の魅力です。東京圏だけで経済規模・GDPは英国一国に匹敵します。大阪を中心とする近畿圏は韓国、名古屋のある中部圏はオランダとほぼ同じ規模です。日本は大きな市場です。
皆さんは日本に「タイ・レストラン」が何軒ほどあるかご存知でしょうか。調べたところ、正確な数は把握できませんでした。「タイ政府・貿易センター」は、「300~400店」と公表し、日本の「タイ料理協会」は「550店を超えた」と言っています。さらに、タイ・レストランのチェーン「クワンチャイ」は「日本には1,800店舗のタイ・レストランがあり、毎年20%ほど増加している」と紹介しています。要すれば、正確なところはわからないものの、確かなことは、日本人はタイ料理が好きで、タイ・レストランが急速に増加しているということです。

“Made in Japan"ブランドがアジアで人気であることは、皆さんの方が良くご存知でしょう。ロレアルというフランスの化粧品メーカーは日本の工場を拡張します。アジア向け製品を"Made in Japan"とするためです。日本での成功は、アジアに広がるのです。

第二の魅力は日本の技術です。
タイが、経済発展に伴い賃金をはじめとした生産コストが上昇するなかで、世界市場での競争力を維持するためには、品質・技術の向上やイノベーションが求められます。研究開発費がGDPに占める割合や、人口1万人当たりの研究者数で世界一を誇る日本に、タイが求める技術が沢山あることは言うまでもありません。日本企業と提携し、タイの製品に日本の技術を加えることは、タイ企業にとって大きな力となるでしょう。先のロレアルのケースは、日本での製造でしたが、"Developed in Japan"あるいは"Created in Japan"という発想です。
この後に包装機械市場についてのプレゼンテーションを行います。これはビジネスをグローバルに展開しつつあるタイの食品産業の方々に向け、日本の包装技術を使って、さらに競争力を高めていただこうという狙いです。

第三の魅力は日本の観光市場です。
先程、タイからの訪日旅行客が年々増加しているとお話ししました。タイからのみならず、世界中からの訪日客が加速度的に増えています。2012年836万人、2013年1,036万人、そして2014年は1,341万人に上りました。
日本政策投資銀行が実施した、訪日客が急増している東アジア8カ国・地域を対象にしたアンケート調査によれば、(韓国を除く)7ヵ国・地域で、日本が「これから旅行したい国のトップ」という結果でした。タイについても、57%が日本を『旅行したい国』のトップに挙げ、第2位の韓国の33%を大きく上回っています。
政府は、2020年までに訪日外国人旅行客2,000万人という目標を掲げていますが、このペースで行けは容易に達成できるでしょう。
観光業は輸送や宿泊は勿論、小売・飲食・娯楽などのサービス業まで、裾野の広い産業です。拡大する日本の観光市場は、魅力ある投資先です。事実、ジェトロにアジア諸国からこの分野に多くの投資関心が寄せられています。増加するタイ人観光客を受け入れるために、日本にホテルや旅行代理店を作りませんか!

第四は、楽しく安全に暮らせる生活インフラです。
OECD幸福度ランキングの「安全」面で日本は世界一です。

英国の情報誌「MONOCLE(モノクル)」が発表した「世界で最も住みやすい25都市のランキング」でコペンハーゲンに次いで東京が2位、京都9位、福岡10位の3都市がランクインしています。(何故、コペンハーゲンが1位か、私には分かりませんが)
多くの外国企業は、治安や社会の安定性、教育環境、居住環境と日本の生活環境の良さを評価しています。加えて、四季の変化、自然の美しさ、多様で繊細かつ健康的な日本の「食」は大きな魅力だと思います。

世界一ビジネスしやすい国に向けて

まだ日本に投資することに納得できない?コストが高いだろうって? その認識は変えた方が良いです。
安倍総理は、日本を「世界で一番ビジネスしやすい国にする」と宣言しました。

日本への投資を考える際、最大の問題として挙げられてきているのが「コストの高さ」です。安倍政権は、日本市場のビジネスコストの象徴である「法人税」に対しても、引下げに着手しており、数年間で20%台の水準に引き下げることをコミットしています。
日本というと「コストの高い国」というイメージをお持ちでしょう。タイに比べれば確かに物価水準は高いですが、タイの最大の投資先シンガポールや香港と比べれば、東京のオフィス賃料や家賃は低く、上海とほぼ同じ水準です。給与水準も同様で、マネジメントクラスはむしろ日本の方が低いです。「日本=コスト高」というイメージは変えるべきです。

Talk to JETRO First

最後に、私の組織「ジェトロ」の話をさせてください。
ジェトロは、世界57か国76事務所そして国内に44事務所のネットワークを持ち、日本と世界の貿易・投資を促進する機関です。安倍政権の投資倍増計画のもと、ジェトロはその中核機関として位置付けられています。
ジェトロは、この12年間で日本への投資に関心のある1万2,000社以上の外国企業を支援し、1,200社以上が投資を実現させました。支援したタイ企業は57社、このうちの10社が日本に拠点を設立しました。業種で見れば、情報通信や繊維・アパレルなどが目立ちます。
情報通信分野では、通信大手・タイコムの子会社IPSTAR社(アイピースター)が、自社の通信衛星を使って衛星通信によるブロードバンド接続サービスを日本で開始しました。そのための支店開設をお手伝い致しました。
アパレルでのユニークな例としては、今年、タイの新進ファッションブランドの「SRETSIS(スレトシス)」の会社設立をサポートしました。日本でのビジネス展開がアジア、そして世界の若者にアピールするという理由です。

ジェトロでは、国内6都市に置かれたIBSC:Invest Japan Business Support Centerで、日本での会社設立準備のために、テンポラリー・オフィスを2ヶ月間無料で提供しています。各種の手続きの相談や市場情報の提供などコンサルティングを無料で実施し、日本進出に際してのワンストップ・サービスを提供しています。
ワンストップ・サービスといえば、今年4月1日には、外資系企業やベンチャー企業等の開業手続を一元化する東京開業ワンストップセンターが、ジェトロ内に開設されました。法人設立や事業開始時に必要な登記、税務、年金・社会保険、入国管理等の各種手続を、専門家がFace to Faceで、スピーディーに行います。

これで日本に直接投資をすることについて納得いただけたと思います。

冒頭、ACミランへの投資の話を紹介しましたが、日本にはJリーグがあり、第2・第3の本田圭祐がプレーしています。Jリーグのチームにも是非投資を考えていただきたいものです。

日本に投資するのはいつが良いか?わざとらしい質問です。今でしょう。今を置いてはないと思います。日本での投資に関し、ご質問やご要望がありましたら、どうぞ“Talk to JETRO First"

ご清聴有難うございました。

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Tel:03-3582-4684

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