ジェトロ対日投資報告2017(要約)2. ビジネス環境の改善に向けて

一層の改善が進む日本のビジネス環境

(1)レギュラトリー・サンドボックス制度の創設

  • 「まずやってみる」を許容する新たな社会実証。新規事業に関する社会実証を行い、そこから得たデータや知見を基に新たなルールを「走りながら考える」仕組み。
  • IoT、AI、自動走行等のイノベーションの成果を活用する分野で既存の法規制が想定していない新規事業を行う際の適用を想定。

(2)行政手続きコストの2割削減(2020年3月まで)

  • 行政手続き簡素化の3原則:デジタルファースト(行政手続きの電子化の徹底)、ワンスオンリー(同じ情報は一度だけ)、書式・様式の統一
  • 重点9分野:営業許認可、社会保険、国税、地方税、補助金、調査・統計への協力など

(3)規制・行政手続見直しワーキング・グループとりまとめ

  1. 1.

    法人設立・登記関係

    • 出資金払込み口座の名義人の範囲拡大、払込先の金融機関の対象の拡充
    • サイン証明書を取得できる場所の拡充
    • 法人設立後の銀行口座開設手続の円滑化
  2. 2.

    在留資格関係

    • 日本版高度外国人材グリーンカード創設(2017年4月)により、永住許可申請に必要な在留期間を大幅短縮

      日本版高度外国人材グリーンカードの概要

    • 在留資格手続のオンライン化(2018年度開始予定)
  3. 3.

    行政手続のワンストップ化

    • 「東京開業ワンストップセンター」の取扱業務の拡充
  4. 4.

    輸入関係

    • 統計品目番号(HSコード)の「国内細分」の統廃合推進による企業の分類作業負担の軽減
  5. 5.

    その他

    • 未承認医療機器の展示会への出展に関し、ガイドラインを改正(2017年6月)

(4)2017年度税制改正の動き

  • 国外財産に対する相続税・贈与税の納税義務の範囲の見直し

    課税範囲に係る見直しの具体的事例

    1. 1.

      単身赴任で在留している外国人が死亡した場合

      1. a.

        単身赴任で在留している外国人が死亡した場合、外国に住む親族が相続する財産の課税対象を国内財産に限定する。

      2. b.

        家族帯同で日本に在留する外国人が死亡した場合、家族が相続する財産の課税対象を国内財産に限定する。

    2. 2.

      単身赴任で在留している外国人が死亡した場合

      1. a.

        日本に在留する外国人の、外国に在留する親族等が死亡した場合、当該親族の有する財産の課税対象を国内財産に限定する。

  • 研究開発税制の支援対象に第4次産業革命型の新たな「サービス」開発を追加。

(5)観光分野における規制緩和

  • 通訳案内士法及び旅行業法の改正(2017年5月):外国人旅行者への有償通訳ガイドが無資格者でも可能に
  • 住宅宿泊事業法(民泊新法)の成立(2017年6月):年間180日を上限に民泊サービスが可能に

(6)外国企業パーソナルアドバイザー制の導入

外国企業パーソナルアドバイザー制のイメージ

ジェトロの誘致担当者(外国企業パーソナルアドバイザー)が支援企業のニーズを積極的に聞き取り、きめ細かなサポートを提供するもの。外国企業パーソナルアドバイザーは、外国企業約1000社を対象に、例えば、「どういった規制や手続があるか分からない」、「政策や市場動向に関する英語情報がほしい」、「政府・自治体のインセンティブ情報がほしい」、「ビジネスの障害となる規制や手続がある」といった企業からのニーズを積極的にヒアリングし、1.個別案件への支援、2.政府への提言、3.自治体との連携の3つの機能により課題解決を図る。個別案件への支援では、マーケット情報の提供、戦略提案を通じたビジネスモデルづくりの支援、専門家(行政書士、司法書士、税理士、会計士、社労士等)によるコンサルテーション、人材・物件探し等の支援、テンポラリーオフィスの提供などを行う。政府への提言では、規制や手続きの改善要望を「対日投資相談ホットライン」を通じて、各省庁などの政府に提言する。自治体との連携では、地方自治体等と連携しながら、企業の招聘や視察ミッション・面談のアレンジ、自治体等のインセンティブ情報の企業への提供などを行う。

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