ジェトロ対日投資報告2017(要約)1. 堅調に伸びる対日直接投資

2016年末の対日直接投資残高は、27.8兆円で過去最高を更新

  • 2016年末の対日直接投資残高は27.8兆円(前年末+3兆700億円)で3年連続で過去最高額を更新。
  • 2016年末残高の名目GDP比は5.2%となり、初めて5%を超過。
  • 2017年6月末の残高(一次推計値)は28.8兆円(2017年9月財務省発表)。

対日直接投資残高の推移と対GDP(名目)比(BPM6基準)

2000年から2017年6月末一次推計までの対日直接投資残高と対GDP比の推移を示したグラフ。2016年末の対日直接投資残高は、27.8兆円となり、3年連続で過去最高を更新した。2016年末時点における対日直接投資残高の対GDP比は5.2%。2017年6月末時点での対日直接投資残高の一次推計値は28.8兆円。

〔出所〕「本邦対外資産負債残高」(財務省)、「国民経済計算」(内閣府)より作成

地域別ではアジアからの対日直接投資残高が急拡大

  • 地域別の対日直接投資残高は、欧州からの投資が全体の48.7%(約13.6兆円)で最大。次いで、北米25.9%(約7.2兆円)、アジア18.0%(約5.0兆円)。
  • 存在感を増すアジアからの対日直接投資残高は、2000年比で約10倍と急拡大。

地域別対日直接投資残高の割合(2016年末時点)

投資元地域別の対日直接投資残高の割合を示した図。欧州の割合が全体の48.7%を占め、北米は25.9%、アジアは18.0%、その他が7.4%をそれぞれ占めている。

〔出所〕「本邦対外資産負債残高」(財務省)より作成

国・地域別対日直接投資残高(2016年末時点)上位10カ国・地域

国・地域別対日直接投資残高(2016年末時点)上位10カ国・地域
順位 残高(億円) 構成比(%)
1 米国 70,101 25.2
2 オランダ 38,002 13.6
3 フランス 33,511 12.0
4 英国 22,623 8.1
5 シンガポール 22,104 7.9
6 スイス 12,944 4.6
7 ケイマン諸島 11,993 4.3
8 香港 10,992 3.9
9 ルクセンブルク 8,679 3.1
10 ドイツ 8,499 3.1

2000年末時点の残高を100とした場合の地域別対日直接投資残高の伸びの推移

2000年末時点の対日直接投資残高を100とした場合における、2000年から2016年までの各年の地域別対日直接投資残高の推移を指数で示したグラフ。2007年には北米が272、欧州が238、アジアが216であったが、2016年にはアジアが971、欧州が442、北米が363となっており、アジアの存在感が増している。

〔注〕2014年以降の残高はBPM6基準、2013年以前の残高はジェトロがBPM5からBPM6基準に換算。
〔出所〕「本邦対外資産負債残高」(財務省)より作成

2016年末のフロー(ネット)は3.8兆円で、比較可能な範囲で過去最大

  • 2016年の対日直接投資フロー(国際収支ベース、ネット)は3兆8,307億円で、前年の約6倍となり、比較可能な1996年以降で過去最大。
  • 地域別では、欧州から2.0兆円、アジアから9,037億円、北米から6,298億円の流入超過。
  • 2017年は前年同期比で減少しているものの、1~9月のフローは1兆2,370億円の流入超過。

地域別対日直接投資フロー(ネット)の推移(単位:億円)(―はデータなし)

地域別対日直接投資フロー(ネット)の推移
国・地域 2014年 2015年 2016年 2017年1~9月
速報値 前年同期比の伸び率(%)
アジア 6,782 6,737 9,037 5,247 -39.9
中国 802 778 -151 647 34.5
香港 2,279 1,178 1,458 -354
台湾 1,264 876 2,589 565 -77.2
韓国 699 1,140 612 713 55.0
ASEAN 1,736 2,748 4,539 3,673 -9.2
シンガポール 1,440 2,229 3,830 3,895 23.4
北米 7,586 6,297 6,298 4,401 -18.0
米国 7,576 6,312 6,323 4,500 -16.1
中南米 729 -2,484 1,808 1,594 6.8
大洋州 618 -759 908 -20
欧州 4,409 -3,390 20,127 1,111 -92.9
EU 3,758 -3,145 18,963 579 -96.1
世界 20,745 6,675 38,307 12,370 -61.4

四半期ごとの対日直接投資フロー(ネット)の推移

〔注〕四半期の区分は、Q1(1~3月)、Q2(4~6月)、Q3(7~9月)、Q4(10~12月)
〔出所〕「国際収支統計」(財務省)より作成

関西国際空港等の運営権取得が2016年最大の対日M&A案件に

  • 2016年の主要案件は、仏ヴァンシ・エアポート、オリックス等による関西国際空港および大阪国際空港の運営権取得(2.2兆円)と、台湾の鴻海精密工業によるシャープ買収。
  • このほか、アジアからは中国の家電メーカー、美的集団による東芝ライフスタイルの白物家電事業の買収や、欧州からは医薬品分野での買収が目立った。

対日M&Aの主な案件(2016年~2017年上半期)(―はデータなし)

対日M&Aの主な案件(2016年~2017年上半期)
実施年月
(完了ベース)
被買収企業 被買収企業
業種
買収企業 買収企業
国籍
買収企業
業種
金額(億円)
2016年4月 新関西国際空港 運輸
(空港運営)
オリックス、ヴァンシ・エアポート(仏)ほか 投資家グループ 22,050
2016年8月 シャープ 電気・電子機器 鴻海精密工業 台湾 電気・電子機器 3,888
2016年2月 ワンエム・ロジスティクス 不動産 ラサールロジポート投資法人 米国 不動産投資信託 1,614
2016年4月 アステラス製薬(海外の皮膚病治療薬事業) 医薬品 レオファーマ デンマーク 医薬品 約891
(6億7,500万ユーロ)
2016年5月 武田薬品工業(呼吸器薬事業) 医薬品 アストラゼネカ 英国 医薬品 約699
(5億7,500万米ドル)
2016年6月 東芝ライフスタイル 白物家電 美的集団有限公司 中国 白物家電 514
2017年5月 カルソニックカンセイ 自動車部品 コールバーグ・クラビス・ロバーツ・アンド・カンパニー(KKR) 米国 投資会社 4,982
2017年4月 ユー・エス・ジェイ 娯楽サービス コムキャストNBCユニバーサル 米国 メディア 2,548
2017年3月 アコーディア・ゴルフ 娯楽サービス MBKパートナーズ 韓国 投資会社 1,490
2017年7月 日立工機 機械 コールバーグ・クラビス・ロバーツ・アンド・カンパニー(KKR) 米国 投資会社 793

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