光触媒技術でニュージーランド企業とMOU を締結

有限会社 イールド
独自の光触媒技術を有する企業が、ジェトロが主催する商談会を通じて、ニュージーランド企業とMOU を締結。海外企業との連携により、次なる事業展開を目指す。
京都市上京区 <輸出> 対象国・地域:ニュージーランド
独自開発の光触媒技術
イールド社が独自開発した酸化チタン光触媒材料「チタニスター」は、高活性・高耐久性光触媒皮膜を持つ環境浄化材料で、金属チタンである純チタンの表面化処理だけで光触媒皮膜を生成させることができる。表面に紫外線が当たると有機物や有害物質を酸化分解して無害化するため、抗菌や空気清浄、水質浄化等の環境浄化に利用されている。
大学の研究機関や大手メーカーが競って開発に取り組むなか、同社は鉄が錆びてその表面が酸化鉄になることに着目し、チタン金属を表面酸化する方法を思いついた。
同社の光触媒技術は業界で唯一、宇宙応用化光触媒として宇宙航空開発研究機構(JAXA)に採択され、国際宇宙ステーション「きぼう号」での採用が決まっているほか、大学病院で行われる抗菌衛生を目的にした手術などにも使用され、公的機関のみならず、民生用途でも多くの実績を持つ。
また、同社が新たに開発した超音波複合水質浄化装置「アクアビーム」は、光触媒業界で初めて超音波技術を導入、「チタニスター」表面に紫外線と超音波を同時に照射することで飛躍的に浄化性能を向上させ、淡水、海水を問わない水の浄化を可能とした。
同社が活用したジェトロの主なサービス・支援
2012年10月 | 「機械バイヤー招へい商談会」参加 |
2013年1月 | 「環境・エネルギービジネス商談会」参加 |
ニュージーランド企業とMOUを締結
日本発の技術として世界に発信中の光触媒技術。加えて、同社の「チタニスター」は、光触媒の普及を妨げる要因となっている経年劣化の問題がなく、一般塗料型光触媒材料と比較しても優位性が高い。
同社はジェトロ事業を活用して海外展開を進めている。ジェトロ大阪本部では海外バイヤーの調達ニーズを分析し、イールド社とバイヤーとの商談をアレンジするなどマッチング機会を提供する形でサポートした。
同社は、ジェトロ大阪本部が主催する商談会(2012年10月)において、商談相手であったニュージーランド企業と2013年6月にMOUを締結。同ニュージーランド企業は既に新法人を立ち上げ、将来的にオセアニア地区で「アクアビーム」を飲料水の製造工程や工業用水の利用環境で発生するバクテリア・ウィルスの殺菌目的等に販売展開する構想を持ち、販売代理店となる検討をしている。また、「アクアビーム」水処理装置を現地で製造し販売することも視野に入れている状況だ。
また、2013年1月開催の「環境・エネルギービジネス商談会」において、フランスの研究室向けに超純水を製造販売する企業とコンタクト機会を持ち、英国子会社に有償サンプルを出荷した。現在評価待ちで、今後の展開に期待している。

光触媒チタニスターを使用した空気清浄機
オンリーワンの技術力を武器に
海外展開に対する同社の熱意は強く、まずは先のニュージーランド企業と今後の具体的な話を進め、次のステップにつなげることが当面の課題である。現地訪問に際しては、通訳の紹介や海外事務所でのブリーフィングサービスの利用などジェトロのサービスを積極的に活用していく予定である。
同社は、「オンリーワン」と言われる高い技術力を武器に、今後も海外展開を進めていく。
ジェトロ担当者からの一言コメント
同社は輸出に向けた人的体制、海外営業のための資金的体力が必ずしも十分に整わない状況だったが、ジェトロの商談会参加を契機として海外企業との具体的な商談に結びつけており、ジェトロの事業を活用して海外展開に着手した好例であると言える。
ご利用いただいたジェトロのサービス
- 展示会・商談会への参加
海外販路開拓のきっかけとなる展示会・商談会への出展をサポートします。
有限会社イールド
京都市上京区今小路通七本松西入ル末之口町998-22
Tel:075-467-2900
http://www.yield-kyoto.com/
従業員:5名 資本金:300円
2014年3月