世界に巡らせたアンテナから最新の情報を

代表取締役社長 五味 武嗣 氏
株式会社共進
無駄な出費や労力を省き、企業や政府の要人と面会することができました。
長野県諏訪市 <海外進出> 対象国・地域:メキシコ
新天地への進出は、ロジカルな思考で着実に
わが社が具体的に海外進出を考え始めたきっかけは、2008年のリーマンショックでした。新興国は立ち直りが早く、09年以降は自動車メーカーが次々に製造拠点を海外に移したため、国内では次に必要な部品の情報が入手しづらくなったのです。
わが社も知人のつてをたどってインドネシア、タイと進出し、インドも目処がついた状態になりましたが、海外工場を作る前から「こういう部品が欲しいが作れるか」といった問い合わせが来て、「なるほど、来年はこんな部品が必要なのか」と知ることができ、情報の速さや大切さを痛感しました。次に狙うのは欧米市場で、まずメキシコで先鞭をつけます。これまでは勢いに乗じて海外に進出してきましたが、まったく事情の分からないメキシコ進出にあたり、一度きっちりとロジカルに進めたいと思い、支援を受けることにしました。

独自に開発したカシメ接合方法
新天地への進出は、ロジカルな思考で着実に
支援は2013年4月にスタートしました。調査や情報収集なども含めて横山専門家の協力を得て検討を重ね、現地調査にも同行してもらいました。現地では、移動中の雑談で「名刺に印字された“ING”は工学系の大学出身の意味。メキシコは階級社会だから、この人に話しかけるときやメールを送るときはリスペクトしていることが分かるような敬称や言葉を使うといい」など、私たちが気付かない、しかし商売する上で重要なポイントを教えてもらえました。知らなければ相手を不愉快にさせたり、交渉が不利になる可能性もあるので、こうしたポイントを教えてもらえる点でも心強いです。税制の優遇制度なども「使うのが当然」と思い込んでいましたが、「これは必ずしも使わなくてもいい制度で、取引先によって使うかどうかを分けたほうが有利」といったアドバイスも受けました。さまざまな情報を事前にレクチャーしてもらうことで無駄な出費や手続きの労力を省くことができ、非常に助かっています。
また、ジェトロ・メキシコ事務所のおかげで、普通なら門前払いされるような企業や政府関係者と対面できたことでも、支援の意義を実感しました。メキシコ進出に向けて専門家とタッグを組み、今後のさらなる海外進出に向けた確実な足掛かりを作っていきたいと考えています。
専門家 横山 治
大手電機メーカー出身。約20年の海外勤務では、工場の立ち上げおよび管理・監査業務を担当。海外とのつながりを持ち続け、社会にも貢献したいという思いから、ジェトロの専門家として活躍中。
<ジェトロ専門家インタビュー>
経験から得たバランス感覚と中立的なアドバイスを大切に
共進社とはこの1年で多くの打ち合わせを重ねてきました。主にメキシコの税制・法制・投資優遇策等の現地の状況、州政府関係者、コンサルティング会社、パートナー候補や協力会社候補などの情報を提供しました。現地F/S調査では、その中から五味社長が訪問希望先を選択し、1週間の日程で精力的な調査計画(15~16件の面会や打ち合わせを設定)を策定し、私もそれに同行させていただきました。現在は、法人形態を検討しつつ、共進社のスペックを満たす協力会社候補を絞り込み、F/S調査の最終検討段階に入っています。
私が支援をする上で気を付けているのは、経験からくるバランス感覚を大事にすることです。社長のご意見を尊重しつつも迎合せず、バイアスのかからない意見、中立公平な立場からのアドバイスを心がけ、ベストな選択ができるようサポートしていければと考えています。
進出段階と支援内容
- 海外進出に向けたビジョン・戦略の明確化
- 税制・法制・投資優遇策等に関する調査・助言
- 現地調査同行によるハンズオンのアドバイス
株式会社共進
長野県諏訪市
精密機械部品加工の専門メーカーで、金属加工部品の開発、設計、製造を手掛ける。以前はオール切削加工だったが、材質違いの部品を接合する「カシメ接合方法」を開発し、一部をプレス加工部品などに替えることで高品質低コストを実現。
1962年設立。
http://kyoshin-h.com/
2014年3月