神藤タオル株式会社
伝統的な技術を活かし、新たな発想で世界へ
創業100余年の神藤タオル株式会社。泉州タオルの技法を継承しつつ、様々な角度から「本当にいいタオルとは何か」を追求し続け、新たなタオルづくりにチャレンジしている。独自の技術に加えて生産過程におけるサステナブルな取り組みが評価され、英国バイヤーとの取引に成功。TAKUMI NEXT事業には2021年、2022年と2年連続で採択されている。
大阪府泉佐野市 ウェブサイト
- 展開国・地域:
- 米国、英国、フランス、オランダ、オーストラリア、香港
- 取扱製品:
- タオルの製造・販売
バイヤーとのオンライン商談はマーケティング情報を得られる機会
2017年にブランドを立ち上げ、もともとは国内向けに展開するつもりでした。しかし初披露の場となった東京の展示会で香港の会社から「店舗で販売したい」とお声がけいただいたのがきっかけで、海外を意識するようになりました。そうしたなかでジェトロの商談会などにも参加するようになり、TAKUMI NEXT事業のことを知り、とにかく海外に対して発信できるチャンスがあればなんでもやってみようという想いで迷いなく申し込みました。TAKUMI NEXTで商談したバイヤーとは実際の取引につながり、2021年に成約した英国バイヤーからは先日リピート注文もいただきました。もちろんすべての商談が成約につながるとは限りませんが、実際にバイヤーと話すことで現地の生活習慣や商品のどのような点が評価されているかを知る機会となっています。海外とのやり取りはオンライン化で一気にやりやすくなったと感じており、サンプルを送ったうえでオンライン商談ができるという仕組みは画期的だと思います。また、展示会では忙しいバイヤーとなかなかまとまった時間で話す場が設けられないため、この点はオンライン商談ならではの強みだと思います。
普通にやっていたことが海外の目線からは評価につながるという気づき
メンタリングではメンターから現地の感覚や商習慣、ブランディング等に関する考え方を学ぶことができ、地域でものづくりをしている企業にとってためになる知識が得られました。メンターからのみでなく、他の参加企業から自分たちとは異なる商材の海外展開の取り組みや悩みを聞くことで視野を広げることができました。特に英国メンターからサステナビリティに対する欧州での捉え方の違いについて学び、商談の際の話し方を変えてみました。商材の生産過程上、化学薬品を完全に省くことは難しいため、オーガニックコットンを素材にしていたものの、これまで環境配慮についてはあまりアピールしていませんでした。しかし、メンターのお話を伺い、環境配慮の取り組みについてアピールできる点はしっかり伝えた方がいいという意識に変わりました。メンタリングから現地の目線で評価されている価値を考える必要があるという気づきを得て、新しい視点として取り入れたことで、「普通にやっていたことが評価されることもある」という発見につながりました。
様々なジェトロ事業と組み合わせながら活用し、理解を深める
TAKUMI NEXT事業は取り組み方次第で多くの情報、気づきが得られます。漫然と話を聞いているだけではセミナーへの参加と同様の結果となってしまうため、しっかり取り組めばこそ価値のあるプログラムだと思います。今後の取組みに生かしていくことにもつながっており、Japan Streetも含め様々なバイヤーと商談をする中でオリジナルカラーやロゴ入れなどのOEM対応への需要を知り、よりフレキシブルに対応できる商品ラインを立ち上げることも検討中です。各国市場との相性や洗濯習慣の違いなど個別具体的な課題についてはハンズオン支援事業を使って検証し、実務的な知識については展示会出展を通じて学び、全体的なマーケティングや海外市場のトレンドについてはTAKUMI NEXT事業、といった形で様々な事業を組み合わせて活用しています。各事業で得た具体的・抽象的な知識が両輪で合致してくると理解が深まると感じています。
ジェトロ担当者からの一言コメント
同社は、事業を通じて得た知識をかみ砕き、実践に移しながら理解を深めています。あえて昔の機械を使うことで職人の自由な発想を引き出し、伝統ある泉州タオルの技術に独自の磨きをかけていく姿勢はまさにTAKUMI「NEXT」の目指すあり方の一つです。その根底には、使ってくれるお客様の様々なニーズに寄り添い、常により良いタオルづくりを目指して工夫をし続けるブランドとしての想いがあると思います。これからも同社の新たな挑戦をサポートしていきたいと思います。
神藤タオル株式会社
大阪府泉佐野市
https://shinto-towel.jp/
代表:神藤 貴志
設立年:1907年
事業内容:タオルの製造・販売
2023年7月