株式会社FIVE

海外生活が長く、日本のマーケットよりも海外のマーケットに詳しかったため、創業当初から海外展開を考えていました。フランスを対象国にした理由は、居住経験があることと、パリでファッションウィークと呼ばれる展示会が行われるからです。実際に海外展開をして苦労しているのは、いかにしてバイヤーを自分たちの展示会に呼ぶかです。会場を探して展示会を開催することのハードルはそれほど高くないのですが、自社製品を卸したいと思っているお店にアプローチをかけて、担当バイヤーに足を運んでもらい、商品を買ってもらうことがとにかく難しい。海外展開を開始してまだ2 年なので、焦らずに試行錯誤しながら努力を重ねています。

専門家からは、海外で展示会を行う際に必要な書類の準備方法やメールの送り方、海外のバイヤーを展示会に呼ぶ際の心得など、主に実務的な部分で多くのアドバイス、支援・指導をいただき大変助かりました。海外展開には実際に経験してみないと知り得ない情報が数多く存在します。当社はファッション業界自体についての経験はありますが、自社製品を輸出する際に必要な手続き等の知識は持っていませんでした。パリでの展示会にて必要となった契約書に関しては法務のスポット専門家、商標登録に関してはコンソーシアム支援機関のINPIT などに相談し、さまざまな方に具体的なアドバイスを受けたことが、今につながっています。

海外で学び日本に持ち帰った欧州のデザイン技法やテイストと日本の技術を融合させた、当社独自の「日本のテーラリング技術」が評価されています。当社はもともと日本のマーケットを想定した商品開発を行っていません。海外展開することは自然な流れでしたし、それが当社の強みでもあったため海外向けから事業を始めましたが、一方で日本である程度の基盤を作ってから海外展開を目指した方がリスクは軽減されるとは思います。海外進出を狙うのであれば、国内と海外の両方の市場を意識してバランスを取りながらやっていくというのが一番良いのかもしれません。当社も今その点を考えながら取り組んでいるところです。