河村尚江デザイン事務所

コロナ禍で国内対面販売が行えなかった頃、ジェトロ岐阜の初心者向け海外展開セミナーに出席する機会を得て、海外展開を考えるようになりました。対象国をフランスに決めたのは、ファッションの最先端の国であり、フランスで受け入れられれば世界に発信できると考えたからです。海外事業展開の経験ゼロ、主担当は1人という状況からのスタートでした。ジェトロの紹介するセミナーは可能な限り受講し、中小企業海外ビジネス人材育成塾にも参加、知識とスキルを蓄積して行きました。ジェトロのパリ事務所のスポット支援も得て、メゾン・エ・オブジェにも無事初出展を果たせました。ジェトロの支援があったからこそ実現できた成果だと思っています。

専門家は当社製品の質の良さを理解してくださり、ブランディングや販売戦略の方向性で、当社の軸がブレないように一貫して寄り添った指導をしてくださいました。そしてパリ事務所のアドバイザーにはメゾン・エ・オブジェ2023初出展に際し、ブースでの商品の見せ方や世界観の表現に適確なアドバイスをいただきました。また専門家の指摘を受け、帰国後も現地で出会ったあるお客様へのフォローを丁寧に行ったところ、それが機縁となって大きな注文が入りました。また輸出に際しては、ジェトロ岐阜事務所の貿易アドバイザーのアドバイスを受け原産地証明の作成が実現、EPAの恩恵も受益することができました。

自社製品のスカーフの特徴である手染めのグラデーションが、機械プリントにはない表現だと海外で受け入れられたのだと思います。またプロカメラマンのイメージ画像で世界観をうまく伝え、相手のニーズに応じた柔軟な対応とクイックレスポンスから信用を得ることも心掛けました。契約はまだドイツの会社1社のみですが、「一生ものの宝石」と紹介してくれており、自分たちの商品が海外でも通用する自信を得られたことは最大の収穫です。海外展示会に出展するには資金と体力と周到な準備が必要です。小さい会社にとっては極めて大きなチャレンジになりますが、製品に磨きをかけてジェトロの支援を最大限に使えば、道は必ず開けると信じています