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株式会社久力製作所

ジェトロは成功事例を多く持っているので、勝ちパターンを知っています

ドア・引き戸などの建築金物および浴室・洗面トイレ用アクセサリーの設計開発、製造および販売。自社で開発から生産、販売を一貫体制で行うことで、顧客への素早い対応と中国子会社からの低コスト調達を強みとしている

茨城県行方市ウェブサイト

展開国・地域：: 2003年中国; 2015年シンガポール、ベトナム; 2016年タイ、フィリピン、インドネシア; 2018年メキシコ、UAE
事業内容：: レバーハンドル、ドア金物、引き戸金物、収納金物、; 浴室・洗面トイレ用アクセサリーの設計開発・製造及び販売

代表取締役社長久力章喜氏

将来的には60％に減少する国内市場への不安

弊社は一般住宅で使用する建築金物などを製造・販売しています。日本国内の人口や世帯数の減少により、2030年ごろには住宅の着工件数は現在の60％程度まで落ち込むという調査結果が出ていました。このままでは事業が将来的に成り立たなくなるという不安から、海外での販売を検討しました。弊社は、お客様からのコストダウン要請に応えるため、自分たちで現地調査を行い中国天津市に現地法人を設立しており、この経験を生かせるのではないかと思いました。その際、中国子会社から日本へ商材を輸入する際にかかる関税などをジェトロへ相談したことがあり、2012年に海外進出のアドバイスを受けることにしました。その相談の中で、旅行客が増えていることから、これから伸びていくホテル市場にターゲットを絞ることにしました。その翌年の2013年には、シンガポールで行われた国際建材展示会へ初出展しました。

月に一回、定期的に行われているジェトロのコンソーシアム専門家との販売会議

現地の声を聞き、販売する商材をレバーハンドルに特化

現地の声やニーズを聞かないことには具体的な対応ができないこともあり、シンガポールの展示会では自社の商品が海外でどのような反応があるか調査しました。ジェトロからの提案も弊社の進出規模感や知識に応じたもので、費用も一部助成を受け、フットワーク軽く参加できたのも大きかったです。低い階段からゆっくりと上って行けましたね。実際、シンガポールにはコンセプトホテルが多く、客室の建築備品のカスタマイズ要望が多かった。そこでジェトロと相談してレバーハンドルに特化することを決めました。多くのメーカーは規格品から選んでくださいというスタンスでしたが、私たちは色や形などのカスタマイズニーズに対応して、ホテルごとの客室数に合わせたロットで注文を受けたところ好反応をいただけました。当初は海外進出で採算が見合うのかという不安はありましたが、ジェトロがそういった相談にも乗ってくれて助かりました。また、海外は市場が拡大していることもあり、参入しやすかったです。

ギリシャ企業とビッグサイト展示会で商談

シンガポールのディストリビューターの展示会
奥の画面は久力製作所の紹介ビデオが流れている

ジェトロは常に私たちを助けてくれている

さまざまな機関や組織がありますが、海外支援に関してはジェトロが抜群にいい。勝ちパターンを知っていて多くの成功事例を持っているので、今の自分たちに何が不足なのかを的確にアドバイスしてくれるからです。一社につき1名の専門家がハンズオンで対応してくれるので、失敗も少なくなります。海外出張へ同行してくれたり、今後の方向性を決める打ち合わせを月一回の開催、顧客とのメールのやりとりのチェック、販路開拓ツールの提案など、海外の販路を拡大する手助けを常にしてくれています。シンガポールの商談中、先方から新しい営業先として高級ホテルが増えているUAEがいいのではないのかという提案をいただいた時も、ジェトロの専門家が同席してくれていたため、現地の市場調査などをすぐに行ってくれました。そのスピーディーさもあり、現在はUAEのバイヤーと交渉する段階まできています。海外での売上規模は社全体で現在は2％ですが、今後は最低でも10％まで持っていきたいです。

専門家からのポイント

久力製作所は従来の一般建物金具に加えて、レバーハンドルのカスタマイズに特化した品揃えも展開して、ビジネスの機会を増やすことで成果を上げられました。成功の要因とし、差別化できる商品、技術を市場のニーズに合わせて特定し、展示会にも代理店との共同出展の形を取り、デモキットも作成して支援したこと。そして積極的な営業活動と、支援する専門家とのチームワークに加えて、同行での密な顧客現場訪問や、代理店会議で勝つためのゲームプラン作成、さらには、「代理店カルテ」を作成して、情報管理をしっかり行ったことが挙げられます。