生活ごみ分類の動き、中国各地で活発に

(中国)

上海発

2019年08月15日

上海市で7月1日から生活ごみの分類が他地域に先駆けて始まったが、中国各地でも分類に向けた準備が進んでいる(2019年7月5日記事参照)。

ここ1カ月ほどの間に、北京市や杭州市、広州市、武漢市、西安市、西寧市、ウルムチ市、ラサ市などが生活ごみの分別に関連する条例を市の人民代表大会(市議会に相当)で可決したり、市内のモデル区で分類を開始したり、分類用のごみ箱を市内各地に設置したりするなど、活発な動きが見られる。

例えば、杭州市では8月1日から新たな条例が施行され、ごみを放置するマンションの管理会社などの責任者に対し、違反時の罰金をこれまでの「200元以上2万元以下」(約3,000~30万円、1元=約15円)から「500元以上5万元以下」に引き上げた。

生活ごみの分類に関しては、2017年3月に国務院弁公庁による「国家発展改革委員会と住宅都市農村建設部の生活ごみ分類制度実施方案の通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(以下、通知、国弁発〔2017〕26号)が出され、モデル地域として上海市を含む46都市が分類を行う先行実施都市(以下、先行46都市)に指定された(表参照)。

表 2020年末までに生活ごみの分類を実施する先行46都市

2017年12月には、住宅都市農村建設部が「一部重点都市における都市生活ごみ分類加速化に関する通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(建城〔2017〕253号)を出し、先行46都市に対し、2018年3月末までに実施計画などを策定するよう求めた。また、主要目標として、2020年末までに生活ごみ分類処理システムを構築し、2035年までに生活ごみ分類処理制度を全面的に構築するとした。

さらに6月には、住宅都市農村建設部など関連部門が「全国地級市(注1)およびそれ以上の都市における生活ごみ分類の全面展開に関する通知」を出し、先行46都市に加え、地級市においても2020年末までに公共機関での分類を完全に実施し、少なくとも市内の1つの街道(注2)で生活ごみ分類のモデル区を設立するよう求めた。また、2022年までに各地級市では少なくとも1つの区で分類を完全に実施し、2025年までに全国の地級市以上の都市で分類処理システムを構築するとした。

取り組みの目標期限の1つである2020年末まで1年半を切り、住民の生活スタイルに大きな影響を与える生活ごみ分類の本格実施に向け、今後も各地で動きが盛んになるものと思われる。

(注1)地級市は省と県の中間の行政単位。

(注2)街道は市における最も小さな行政単位。

(高橋大輔)

(中国)

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