江蘇省、爆発事故受け、3年で4,000の化学工業メーカーを整理予定

(中国)

上海発

2019年04月23日

江蘇省塩城市の江蘇天嘉宜化工で3月21日に発生した工場爆発事故を受け、江蘇省政府弁公庁は4月1日、「江蘇省化学工業業界整理改善方案(意見募集稿)」(以下、方案)に関する緊急通知を出した。方案では、長江の本支流の両岸1キロ範囲内の環境センシティブエリア、都市人口密集エリア、化学工業園区外のエリアで、一定規模以下の化学工業メーカーを大幅に削減するとし、2020年末までに2,000社までに減少させ、2022年までに1,000社未満にする目標を掲げた。2018年9月に発表された措置(2018年9月11日記事参照)を大幅に上回る厳しい内容だ。

報道によると、江蘇省における一定規模以上の化学工業メーカーは4,069社、一定規模以下も含めると全体で5,000社以上あるといわれており、方案が施行されれば、3年間で4,000社余りの化学工業メーカーを閉鎖・移転させることになる。また、山東省でも、危険化学品企業に対する安全対策整理の緊急行動を展開した結果、4月1日までに4,050社が検査され、121社が生産停止命令を受けたという。

方案では以下のとおり具体的措置を明記しており、爆発事故を受け、大規模な整理・閉鎖・移転が行われる見通しだ。

  1. 安全と環境保護基準に達しない化学工業メーカーは直ちに生産を停止し、期限内に改善するなどの対策をとる。工業企業資源集約利用総合評価がD類の企業は順次閉鎖・退出させる。
  2. 長江の本支流の両岸1キロ範囲内で化学工業園区外にある34社は、原則2020年末までに全て退出させる。化学工業園区内の254社は2019年末までに評価を終了させ、処置意見を提出する。園区内にある産業サプライチェーンと関連がなく、安全・環境保護に大きな危険をもたらす恐れのある企業は2020年末までに退出させる。
  3. 太湖一級保護区内の37社は2020年末までに基本的に閉鎖あるいは移転させる。京杭大運河と通榆河清水通路の両岸1キロ範囲内の34社は、2020年末までに閉鎖あるいは移転させる。
  4. 都市人口密集区に所在する安全衛生上の防護距離が不十分な89社の危険化学品メーカーは、2019年末までに退出させる。移転できないことが確実な企業に対しては、安全衛生上の防護距離圏内の住民を移転させる。
  5. 工業園区外の2,239社を整理、削減、移転、再編し、安全に関するリスクが高く、安全環境保護の管理レベルが低い企業は2020年末までに閉鎖・退出させる。
  6. 省内の一定規模以下の化学工業企業1,660社に対し、さらに徹底した調査を進め、安全環境保護リスクを評価し、基準に達しない企業は2020年末までに全て閉鎖・省内から退出させるとともに、基準を満たす企業については化学工業園区あるいは集中区で業務を行うことを支援する。
  7. 「江蘇省化学工業園区規範発展総合評価指標システム」「江蘇省化学工業園区(集中区)環境業績評価システム」で公表された、および、新たに加わった化学工業園区については、安全・環境保護の要求に基づき、工業園区の規模、産業レベル、土地面積、計画許可、安全管理、環境整備などの観点から、省内50カ所の化学工業園区に対し全面的な評価を行い、評価結果に基づき化学工業園区を20カ所前後に削減する。

(注)発展水準が遅れ、総合的な利益水準が悪く、重点的に整理する必要がある企業を指す。

(呉秀媛)

(中国)

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