日EU・EPA活用促進セミナーを開催

(EU)

欧州ロシアCIS課

2018年05月17日

ジェトロは5月16日、東京都内で「日EU・EPA/TPP11活用促進セミナー」を開催した。日EU経済連携協定(EPA)については、ジェトロ海外調査部欧州ロシアCIS課の田中晋課長が、EU市場の魅力や同EPAの合意内容および活用について紹介した。

同課長は、まずEU市場の魅力について、欧州は他地域に比較して日本からの地理的距離などがネックと捉えられがちだが、5億人の市場規模がありビジネスポテンシャルが高い点や、1人当たりGDPを世界各国で比較した場合、EUは日本の水準と比較的近い国が多く、高付加価値製品の市場がある点などを強調した。そのほかにも、欧州には世界に向けたブランド発信の場となる展示会などが多く開催されている点なども、他地域にない大きな魅力だと紹介した。

工業製品のみならず、農産品や酒類の輸出拡大にも期待

日EU・EPAの今後の発効に向けた見通しについて、田中課長は現在の状況として、日・EU双方で協定の署名に向けた手続きを進めている段階で、EU側では、欧州委員会が4月18日に協定テキスト案をEU理事会に提案し、同テキスト案について加盟各国の合意が得られ、EU(閣僚)理事会での承認が得られた後に署名がなされるとの見通しを示した。

また、ジェトロが2017年度に行った日本企業の海外展開に関するアンケート調査結果を紹介し、EUに輸出する企業の半数以上が「日EU・EPA利用を検討」と回答しており、企業の期待が高いこと、特に利用を検討している企業の多かった業種として、商社、飲食、鉄鋼、繊維・アパレル、自動車などと述べた。

日EU・EPAの合意内容については、工業製品では、双方全ての関税が最終的に撤廃される点、特にEU側の大半の品目の関税が協定発効と同時に撤廃される点を強調した。農水産品や酒類については、日本から欧州への輸出が特に伸びている品目を紹介し、その多くは日EU・EPAによって関税が即時に撤廃されることや、地理的表示(GI)によって協定で認められた品目については、相互に呼称が保護されることなどをポイントとして紹介した。

そのほか酒類については、単式蒸留焼酎に対するEUの容器容量規制が撤廃される点や、「日本ワイン」については、EUのワイン醸造規則を満たさずとも輸出が可能になる点などをポイントとして紹介した。また、日EU・EPAの活用のための情報として、特恵関税の適用を受けるためのルールなどを紹介した。

写真 関心が高く満員となったセミナー会場(ジェトロ撮影)

(根津奈緒美)

(EU)

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