電力庁との共同投資による発電・蓄電の戦略プロジェクトを公募
(メキシコ)
調査部米州課
2026年05月20日
メキシコ・エネルギー省(SENER)は5月15日、国家の電力部門開発計画に基づく「発電および蓄電の戦略プロジェクトに関する公募」を官報で公示した。本制度は、電力系統(SEN)の信頼性、効率性、持続可能性の強化を目的に、戦略性の高い案件を優先的に選定・促進する枠組みである(公示文書1.1)。
本公募は、0.7メガワット(MW)以上の再生可能エネルギー発電設備および蓄電システムを対象とし、国家計画への適合が求められる(1.2)。今回の公募の対象は、2月に説明会が開催され、パートナーの事前選定プロセス(注)が開始されていた電力庁(CFE)との共同投資事業(2026年2月17日記事参照)として実施されるプロジェクトである(1.1のI、1.2.1のIV)。案件選定では、地域・変電所・接続点単位で設定される「必要容量」の充足が基準となる(2のV)。
手続きは、ワンストップ窓口(VUPE)により一元的に管理される(4)。事業者は関心表明とともに、国家電力管理センター(CENACE)に対し系統接続調査を申請する(6および7)。その後、CENACEが提示する系統接続・増強工事および費用を受諾することが、手続き継続の前提条件となる(8)。続いて、国家エネルギー委員会(CNE)が計画適合性を確認し(9)、技術分析グループ(GAT)が電力系統への貢献や技術的妥当性を評価する(10)。
スケジュールについては、5月25日~8月25日まで関心表明を受け付ける(17)。その後、約30日間の系統接続調査(17の第6段階)および評価を経て、適格案件はCFEとの協議を進めた上で許可申請に進む(17.4)。許可取得後は、保証金の提出(13)や環境・社会許認可の取得、工事着手などが求められ、期限未達の場合には取消措置の可能性がある(12および16)。
評価においては、系統混雑の緩和、供給力の増強、地域信頼性の向上、運用柔軟性(蓄電)、環境価値などが重視される(10)。加えて、蓄電については地域別の必要容量(例:北部245MWなど)が示され、優先案件を誘導する設計となっている(18)。
民間投資を国の管理下で誘導するためのスキーム
今回の公募は5月11日官報で公示された民間発電事業者の優先事業枠の第2回公募(2026年5月14日記事参照)とは別枠であり、民間単独ではなくCFEとの共同投資による戦略的プロジェクト形成を目的とする。ただし、双方とも国家電力開発計画(PLADESE)に基づき、2030年までに増強が必要となる2万8,004MWの発電能力構築のためのプロジェクト公募だ(2026年1月26日付地域・分析レポート参照)。
共同投資スキームは、CFEとの共同開発を前提とすることで電力の買い取りや手続き面の確実性が高まり、投資回収の見込みが高まるとの評価がある。一方で、CFEが持分の過半(54%)を維持する前提のスキームは、民間側の意思決定の自由度に制約を与える可能性があり、案件ごとの契約条件が投資判断に大きく影響するという専門家の指摘もある。
(注)政府の2月6日の説明会実施の後、エネルギー省の特設ウェブサイト
経由で関心募集が行われており、3月下旬時点の政府発表によると、民間事業者から発電容量合計約38ギガワット(GW)に及ぶ222のプロジェクト提案があったとのこと。今回の公募は、民間事業者から示された関心の高さを考慮し、制度化された許認可付与のプロセスとして正式に公示されたものと考えられる。
(中畑貴雄)
(メキシコ)
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