現代自動車、米ジョージア州に水素ステーション設置計画を発表

(米国、韓国)

アトランタ発

2025年05月02日

韓国の現代自動車は4月28日、米国ロサンゼルスで開催された商用車両の展示会ACT EXPO2025でクラス8(注1)大型ゼロエミッション車向けに、水素製造・供給施設「HTWOエナジー・サバンナ」をジョージア州チャタム郡プーラーに設置する計画を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。新施設は、2025年3月に本格稼働した同社の電気自動車(EV)専用工場、メタプラント・アメリカ(HMGMA)(2025年4月1日記事参照)と同州サバンナ港のほぼ中間に位置し、同港からわずか10マイル(約16キロメートル)の全米で最も忙しい輸送ハブの1つに設置される(注2)。HMGMAは2024年12月、HMGMAに同グループのクラス8水素燃料電池トラック「エクシェント」の配備を発表している(2024年12月12日記事参照)。

この計画は、現代自動車と現代グロービス子会社のグロービス・アメリカによる合弁会社のHTWOロジスティクス、水素機器・水素燃料製造のハイドロ・フリート(本社:米ノースカロライナ州)、キャピタル・ディベロップメント・パートナーズによる共同事業で、建設にかかる投資額は約3,300万ドル、2025年秋に操業開始の予定だ。

計画は段階的に進められ、フェーズ1ではクラス8向けの「水素燃料補給ソリューション」を構築し、フェーズ2では商用EVへの充電機能も付加する予定だ。1日当たり1,200キログラムの水素を生産し、最大14台のトラックに水素の急速充填(じゅうてん)を行う見込みで、将来的には1日当たり最大4,200キログラム(50台分)まで拡張可能だ。

現代自動車アメリカの商用車・水素燃料電池事業担当上席副社長ジム・パク氏は「HTWOエナジー・サバンナは、HMGMAクリーンロジスティクスのビジョンを真に実現するもので、革新的な新しいEV工場の製品がクリーンなゼロエミッションエコシステム内で輸送されることを可能にする」と述べた。ハイドロ・フリートのスコット・モー最高経営責任者(CEO)は「プーラーは、主要州間高速道路、サバンナ港、そして見込み客に近く、当社の施設として理想的な立地だ」とし、「HTWOエナジー・サバンナは大型トラック輸送と水素産業に革命をもたらす画期的な取り組み(注3)」と述べた。また、南東部水素エネルギー連合のエグゼクティブディレクター、デス・カーライル氏は「本プロジェクトは、官民連携によってゼロエミッション物流を加速させながら、地域のエネルギーレジリエンスを強化する青写真となる」と語った。

なお、ジェトロでは、各国における水素関連の取り組みについて、地域・分析レポート「特集 世界のクリーン水素プロジェクトの現状と課題」(2025年4月23日)で特集している。

(注1)人員、貨物などを含む車両総重量が3万3,001ポンド(約15トン)以上の重さの大型トラック。

(注2)ジョージア州では2023年8月から、ブライアン・ケンプ知事(共和党)の指揮の下に、同州運輸省が商用車用水素燃料ステーション展開に向けた検討を開始し、当初より、HMGMAとサバンナ港を結ぶ州間高速道路16号線の地域が投資先候補として挙げられていた(2023年8月15日記事参照)。

(注3)ハイドロ・フリートの発表によると、ディーゼルエンジン搭載のクラス8大型トラック1台を水素燃料電池トラック1台に置き換えることで、年間400トン以上の二酸化炭素(CO2)排出量削減が可能となる。将来的には、この施設でサービスを受ける水素燃料トラック車両群が、サバンナ地域から年間4万トン以上のCO2を削減するという。

(横山華子)

(米国、韓国)

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