ロシアの2024年GDPが200兆ルーブル突破、ハイテク産業が成長牽引
(ロシア)
調査部欧州課
2025年04月03日
ロシアのミハイル・ミシュスチン首相は3月26日、下院で同国政府の活動に関する年次報告書を発表した。それによると、2024年の名目GDPは初めて200兆ルーブル(約360兆円、1ルーブル=約1.8円)の大台を突破し、2020年比で約2倍の成長を記録した。
GDPの伸びに特に貢献したのは製造業で、前年比8.5%増となった。製造業の中では機械製造業、中でもハイテク製品の生産量が前年に比べて20%近い成長を示した。
機械製造業について、ミシュスチン首相は国家的に重要なプロジェクトに着実な進展がみられる点を強調した。成果の例として、国産エンジンを搭載した旅客機「スーパージェット」が3月に初飛行に成功したことに加え、今後の北極圏開発を支える世界最大級の原子力砕氷船「ヤクーチア」の完成や、ウラル地域のチェリャビンスク市における国内初の産業向け汎用(はんよう)ロボット工場の稼働を紹介した。
ハイテク産業の発展は、技術主権(2024年3月12日記事参照)確立の要となることから、ウラジーミル・プーチン大統領は優先課題として掲げている。技術的優位性を含む経済発展目標を定めた大統領令第309号「2030年までのロシア連邦の国家発展目標と2036年までの展望について」の達成(2024年5月16日記事参照)に向け、2024年に複数の国家プロジェクトを策定した。対象分野は「新素材と化学」「生産手段と自動化」「新しい原子力・エネルギー技術」「輸送モビリティーの確保」「無人航空システム」「技術面からの食糧安全保障」「健康維持の新技術」などで、 ロシアはこうした国家プロジェクトを通じて、外国企業からの依存脱却を目指している。
(欧州課)
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