ASEANカナダFTAの年内実質合意を目指す、ASEANカナダビジネス評議会がセミナーを開催
(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カナダ)
ジャカルタ発
2025年03月10日
カナダの産業界を代表した政策提言などを行うASEANカナダビジネス評議会は3月4日、「マレーシアの2025年ASEAN議長国年における経済的な優先課題」と題したセミナーを開催した。セミナーにはASEANカナダ政府代表部のビッキー・シンミン大使、ASEANマレーシア政府代表部のサラ・バクリ・デバダソン常駐代表、ASEANビジネス諮問評議会(ASEAN-BAC)マレーシアのナジール・ラザク議長が登壇した。
ビッキー大使は、2025年のASEANとカナダの両国・地域における最優先課題はASEANカナダ自由貿易協定(ACAFTA)の実質合意だとし、「同協定が締結されれば、相互の貿易だけでなく、カナダからASEANへの企業進出をはじめとした投資の増加にも寄与する」と強調した。また、「両国・地域間に共通する極めて重要な産業はエネルギーとデジタル、食料安全保障を含む農業分野などだ」とした。
サラ常駐代表は、マレーシアが議長国を務める2025年のASEANの優先的な経済成果(PEDs:Priority Economic Deliverables)は(1)ASEAN物品貿易協定(ATIGA)の改定交渉の妥結、(2)ASEANインド物品貿易協定(AITIGA)の改定交渉の実質妥結、(3)ASEAN中国自由貿易地域(ACFTA)3.0改定議定書への署名、(4)湾岸協力会議(GCC)との協力に関する宣言、(5)ASEAN持続可能な投資ガイドライン(ASIG)の採択、(6)ASEAN電気自動車(EV)実行計画を支援するための政策提言とガイドラインの作成、(7)ASEAN統合半導体サプライチェーン枠組み(AFISS)の策定、(8)ASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA)の実質妥結などだと紹介した。また、「ASEANは電子機器や半導体、エネルギー分野への投資を呼び込むことで強靭(きょうじん)な経済地域を構築できる」と強調した。
ナジール議長は、ASEAN-BACマレーシアが取り組むレガシープロジェクトについて紹介した(2025年2月5日記事参照)。「ASEAN人材育成と流動性」について、ASEANの学生向けの柔軟な査証(ビザ)発給の必要性を述べたうえで、「ASEAN域内で次世代の優秀な人材の育成を目的として、就労ビザの柔軟な発給を促進し、ASEAN加盟国内の就業体験(インターンシップ)機会の確保につなげたい」とした。
(大滝泰史)
(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カナダ)
ビジネス短信 dbb9b1ff2823c49e