中国、1~2月の小売総額は前年同期比4.0%増に

(中国)

調査部中国北アジア課

2025年03月21日

中国の国家統計局は3月17日、1~2月の社会消費品小売総額が前年同期比4.0%増の8兆3,731億元(約175兆8,351億円、1元=約21円)だったと発表した。伸び率は2024年12月単月と比較して拡大している(注1)。なお、自動車を除く小売総額は4.8%増の7兆6,838億元となった。

消費タイプ別では、商品消費額が前年同期比3.9%増の7兆3,939億元となり、特に通信機器類(26.2%増)、スポーツ・娯楽用品類(25.0%増)、文化・事務用品類(21.8%増)、家具類(11.7%増)などが2桁増だった。また、飲食収入額は4.3%増の9,792億元となった。

1~2月の小売額を店舗別にみると、コンビニエンスストアは前年同期比9.8%増、専門店は5.4%増、スーパーマーケットは4.0%増、百貨店は0.4%増、ブランド専門店は0.8%減だった。実物商品のオンライン小売額は5.0%増の1兆8,633億元となり、社会消費品小売総額全体の22.3%を占めた。

国家統計局は、消費財の買い替え推進政策(「中国の設備更新と消費財買い替え推進政策の最新動向」特集参照)が引き続き成果を上げ、消費市場は安定的に推移していると指摘した。また、1~2月のサービス小売額は商品小売額を1.0ポイント近く上回る4.9%増だったと明らかにしたうえで、特に観光・レジャーなどに関連するサービスの消費が拡大していると指摘した。

全人代の政府活動報告、2025年の重点業務では内需拡大を筆頭項目に

3月11日に閉幕した第14期全国人民代表大会(全人代)第3回会議では、李強首相が政府活動報告を行い、2025年の政府活動の任務として「消費押し上げと投資効果の向上、内需拡大」が筆頭に掲げられた(2025年3月6日記事参照)。また、同会議で可決された「2024年国民経済・社会発展計画の執行状況と2025年国民経済・社会発展計画案についての報告」では、消費拡大に向けて、消費能力の向上や良質な供給の拡大、所得向上の推進(注2)などが提唱されたほか、2025年に発行する超長期特別国債(注3)のうち、5,000億元分を大規模設備更新と消費財の買い替えに充てること、同買い替え政策の適用範囲を拡大することも盛り込まれた(注4)。

(注1)中国では、旧正月休暇期間(毎年1~2月にかけての約1週間)が毎年異なるため、社会消費品小売総額などの統計データは、通常1月と2月を合算して発表される。その他の月は毎月の統計データが発表される。

(注2)中国共産党中央弁公室と国務院は3月16日、「消費拡大特別計画」を発表し、消費能力向上のため、賃金収入の合理的な増加や、株式配当金などの財産収入の充実などが提唱された。

(注3)2025年は超長期特別国債を前年比3,000億元増の1兆3,000億元分発行するとしており、大規模設備更新と消費財買い替え補助金に充当する分以外の8,000億元は国家の重要戦略の実施および重点分野の安全保障能力の整備に使用するとしている。

(注4)1月8日に国家発展改革委員会と財政部が発表した「2025年の大規模設備更新と消費財買い替えの推進への支援強化に関する通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」では、自動車や家電製品などにおける補助対象範囲の拡大や、新たに携帯電話などのデジタル製品に対して購入補助金を支給することなどが提唱されている(2025年1月16日記事参照)。

(廣田瑞生)

(中国)

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