IMFが金融支援の第3回審査が完了、約3億3,400万ドルを追加支援

(スリランカ)

コロンボ発

2025年03月14日

IMFは2月28日、スリランカへの金融支援パッケージ〔拡大信用供与(EFF)プログラム、4年間で総額22億8,600万SDR(約30億ドル、注)〕の第3回審査を理事会で承認し、2億5,400万SDR(約3億3,400万ドル)を追加で拠出すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同プログラムによる資金援助は今回が4度目で、累計10億200万SDR(約13億4,000万ドル)となった。なお、本審査結果については、IMFとスリランカ政府が2024年11月23日に担当者レベルで合意していた。

IMFは、スリランカが2024年12月末までの目標のうち、社会福祉に関する支出項目を除いて全てを達成、2025年1月末までの構造改革目標もほとんど達成した、と評価している。また、民間債権者との債務再編の完了(2024年12月25日記事参照)は、債務の持続可能性を回復する上で重要なマイルストーンになったと位置づけた。

その上で、スリランカの構造改革の成果と経済回復を認め、その根拠として、物価上昇率が低水準にとどまり、歳入が改善し、外貨準備高が増大している点を挙げた。加えて、2023年第3四半期以降の実質経済成長率が4.3%で推移し、2018年から2023年までの間に生じた実質GDPの損失の40%が回復したと指摘し、2025年も経済回復が継続すると予想している。具体的には、2025年の実質GDP成長率を3.0%、物価上昇率を3.8%と見込んでいる。

加えて、スリランカでは2024年後半に大統領選挙(2024年9月24日記事参照)および国会議員選挙(2024年11月18日記事参照)が実施されたが、新政権はEFFプログラムの支持を表明しており、2025年度(1月~12月)の国家予算(2025年3月3日記事参照)は同プログラム目標に沿っている、と評した。

他方、IMFは、依然として同国の経済が脆弱(ぜいじゃく)で、マクロ経済の安定性と債務の持続可能性を確保するための構造改革基調の継続と、貧困層や社会的弱者向けの財政支援による長期的な包摂的成長の推進が重要だと強調した。

(注)Special Drawing Rightの略で、特別引出権。通貨ではないものの、その価値はドル、ユーロ、中国人民元、日本円、英国ポンドの5通貨のバスケットに基づいた国際準備資産。

(大井裕貴)

(スリランカ)

ビジネス短信 737d252ba36de358