ビエンチャン~第5友好橋~ベトナム北部を実走

(ラオス、ベトナム)

ビエンチャン発

2025年03月26日

ラオス・タイ第5友好橋が近く完成する(2025年2月27日記事参照)。この国際橋の完成を前に、タイとラオス、ベトナム間の物流環境を確認するため、ジェトロは3月18~19日にラオスの首都ビエンチャンから第5友好橋のあるカムアン県を経由し、ベトナムの首都ハノイまでの陸路を実走して状況を確認した。

第5友好橋は現在、建設の最終段階にあり、2025年12月9日の開通を予定している。ビエンチャンから第5友好橋までは国道13号線南で約140キロ、所要時間(注1)は2時間30分だった。これまで同国道は損傷が進んでいたが、世界銀行や欧州投資銀行(EIB)、アジアインフラ投資銀行(AIIB)などによるソフトローンを活用し、2021年からの補修と拡張工事が開始された。現在の路面状態は非常に良好だった。

写真 ラオス・タイ第5友好橋のイミグレーション棟(ジェトロ撮影)

ラオス・タイ第5友好橋のイミグレーション棟(ジェトロ撮影)

さらに、第5友好橋から国道8号線との接続地点(ビエンカム交差点)までは約100キロ、所要時間は1時間10分だった。国道8号線は、国道13号線南とベトナムに接続するナムパオ国境を結ぶとともに、首都ビエンチャンや第5友好橋からハノイなどベトナム北部を結ぶ最短の道路である。ビエンカム交差点からナムパオ国境まで130キロあり、所要時間は2時間40分だった。国道8号線は高低差のある山岳部を縫うように走る。ベトナム側から熱帯低気圧が西向きに侵入するため、豪雨による土砂崩れなどで被害を受けやすい立地だ。その復旧作業や、2024年12月から韓国国際協力団(KOICA)の援助を受けて改修工事などが行われている。

ナムパオ国境周辺では、ベトナムに出国しようとする多くのトラックが数キロにわたって渋滞し、混雑していた。しかし、ベトナムの国営テレビ局VTV8によると、インフラの老朽化などの影響を受け、ラオス産キャッサバや鉄鉱石、タイ産エナジードリンクなどの主要品目の貿易ルートが国道12号線(ラオス側ナーパオ国境/ベトナム側チャロー国境)や国道7号線(ラオス側ナムカン国境/ベトナム側ナムカン国境)へと大きくシフトしているという。今回実走したルートの活性化には、第5友好橋の完成だけでなく、国道8号線の補修・改修が必須だ。

写真 国道8号線のトラックの渋滞(ジェトロ撮影)

国道8号線のトラックの渋滞(ジェトロ撮影)

ナムパオ国境のベトナム側国境のカウチェオ国境からベトナム・ゲアン省の省都ビンまでは約90キロ、所要時間2時間20分。ビンからハノイまでは約320キロ、所要時間は5時間40分(注2)だった。

(注1)本稿での所要時間は全て、休息時間を除く。

(注2)ビンから北中部のタインホアまでは国道1号線を使用して約150キロ、所要時間3時間20分。タインホアからハノイまでは南北高速道路の東区間を使用して約170キロ、所要時間2時間20分だった。

(山田健一郎)

(ラオス、ベトナム)

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