トランプ米大統領との交渉役として新首相カーニー氏が適任と48%が回答、カナダ世論調査

(カナダ、米国)

調査部米州課

2025年03月21日

カナダでは、元カナダ銀行総裁のマーク・カーニー氏が3月14日、新首相に就任した(2025年3月18日記事参照)。最近の世論調査では、米国のドナルド・トランプ大統領との交渉役として、各政党の党首と比べてカーニー氏が適任とする割合が高かった。

調査会社イプソスは3月20日、各政党党首への期待などに関する世論調査結果(注1)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。それによれば、「トランプ大統領と最高の取引ができそうなタフな交渉者」として最も支持されたのはカーニー氏(自由党、48%)だった。ピエール・ポワリエーブル氏(保守党、31%)、ジャグミート・シン氏(新民主党、8%)が続いた。「米国への依存を減らすために必要な変化と投資に向けてカナダ人を団結させそうな党首」「適切な政府プログラムを実施する技量がある党首(注2)」のいずれもカーニー氏が46%、48%と最も支持された。一方、「トランプ大統領の要求を何でも受け入れそうな党首」とされたのは、ポワリエーブル氏が43%と最も高かった。カーニー氏(22%)、シン氏(16%)が続いた。

トランプ大統領は、カナダが米国の51番目の州になれば、関税もなくなると度々発言している。調査会社レジェ・マーケティングが3月に実施した世論調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注3)によれば、カナダが米国の51番目の州になる可能性が高まれば、米国以外への移住も考えるかという問いに対して、「考えないだろう」が51%と「考えるだろう」(35%)を上回った。

カーニー氏は3月17日、トランプ大統領のカナダに対する発言に厳しく応じ、「われわれはそうした発言を非難してきた。無礼であり、役に立たない。そして、われわれが座って米国とのより広範なパートナーシップについて話し合う前に、それらの発言をやめなければならない」と述べた(ロイター3月18日)。

また、カーニー氏は3月18日、トランプ大統領がカナダの経済を破壊しようとしているというジャスティン・トルドー前首相の発言について尋ねられ、「カナダは強いし、今後さらに強くなる」と述べ、同盟国との貿易戦争は米国を弱体化させるだろうと語った(CBCニュース3月18日)。

(注1)実施時期は2025年3月14~17日。対象者はカナダの成人1,000人。

(注2)全文は、「トランプ氏がカナダに課した関税によりカナダ人が直面する困難に対処する適切な政府プログラムを実施する技量がある党首」。

(注3)実施時期は2025年3月14~16日。対象者はカナダの成人1,568人。

(松岡智恵子)

(カナダ、米国)

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