トランプ米政権の予算・連邦職員削減は行き過ぎと半数近くが回答、世論調査
(米国)
調査部米州課
2025年03月21日
米国のトランプ政権では、通年つなぎ予算(CR)法案が3月14日に上院で可決されたことで、トランプ氏がさらに改革を進めやすくなったとの見方もある(2025年3月17日記事参照)が、最近の世論調査では、ほぼ半数がトランプ政権の取り組みは行き過ぎとする結果だった。
経済誌「エコノミスト」と調査会社ユーガブは3月20日、トランプ政権の動向などに関する世論調査結果(注1)を発表した。それによれば、46%がトランプ政権による連邦政府機関の予算と職員の削減の取り組みは行き過ぎだと回答した。25%が取り組みは適切、17%は取り組みが不十分としている。主な連邦政府機関の削減あるいは廃止を求める割合は低かったが、政府効率化省(DOGE)に対しては43%と高かった。詳細は次のとおり。
- 政府効率化省(DOGE):43%(削減9%、廃止34%)
- 環境保護庁(EPA):24%(削減17%、廃止7%)
- 移民税関捜査局(ICE):23%(削減15%、廃止8%)
- 疾病予防管理センター(CDC):22%(削減17%、廃止5%)
NBCニュースが3月に実施した世論調査(注)によれば、DOGEを率いるイーロン・マスク氏への否定的な見方が51%(非常に否定的45%、やや否定的6%)と過半で、肯定的な見方は39%(非常に肯定的26%、やや肯定的13%)だった。重要事項でトランプ政権がもたらした変化についても聞いており、「国境警備・移民」に関しては、「良い方向に変化」が56%と過半だったが、「貿易・関税」(41%)、「インフレ・生活費」(40%)は半数に届かなかった。
経済の悪化を実感
コネティカット州のキニピアク大学が3月に実施した世論調査(注)によれば、最近の米国の経済状況について良いとする割合は23%で、2024年12月の調査時(34%)から11ポイント低下した。一方、悪いとする割合は76%と12月(64%)から12ポイント上昇し、8割近くが経済の悪化を実感している。
米国経済の先行きを危ぶむ声は多く(2025年3月10日記事、3月12日記事参照)、トランプ大統領の貿易戦争が市場を動揺させ、不安を覚える経営者が投資を再考する中、多くの経済学者は、米国が2025年に不況に陥る可能性がますます高まっていると述べている(英紙「ガーディアン」3月16日)。
(注1)実施時期は2025年3月16~18日。対象者は全米の成人1,618人。
(注2)実施時期は2025年3月7~11日。対象者は全米の登録有権者1,000人。
(注3)実施時期は2025年3月6~10日。対象者は全米の登録有権者1,198人。
(松岡智恵子)
(米国)
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