米環境保護庁、ライトビークル、中・大型車の排出基準を再検討

(米国)

ニューヨーク発

2025年03月21日

米国環境保護庁(EPA)は3月12日、2027年モデル以降のライトビークル(乗用車と小型トラック、LDV)と中型車(MDV)、大型車両の温室効果ガス(GHG)排出基準を再検討すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。EPAが同日に発表した一連の大規模な環境規制の見直しの一部となる(2025年3月14日記事参照)。新たな規制案の内容や日程などは明らかになっていない。

2027~2032年モデルのLDVとMDVからの二酸化炭素(CO2)排出量に関しては、バイデン前政権下のEPAが2024年3月に、「2027年モデル以降のLDVとMDVに対する複数の汚染物質排出基準」を制定し、2032年時点でLDVが業界平均1マイル(約1.6キロ)当たり85グラム(85gpm)、MDVが274gpmとなるよう基準値を定めた(2024年3月26日記事参照)。大型車両に関しては、同月に「大型車両のGHG基準(フェーズ3)」を制定し、2027年から2055年までに累計で10億トンのCO2排出削減効果を見込む基準値を盛り込んだ(2024年4月3日記事参照)。

EPAは声明で「(バイデン前政権下での)規則は、7,000億ドルを超える規制およびコンプライアンス費用を課すだけでなく、米国人が家族のために安全で手頃な価格の車を選択する機会を奪い、トラックで運送される全ての製品の生活費を増大させる」と批判した。また「米国の自動車業界は、前政権の圧倒的な規制体制によって足かせをはめられてきた」とするリー・ゼルディン環境保護庁長官の言葉を引用した上で、「ドナルド・トランプ大統領とゼルディン氏は、米国の自動車関連雇用を復活させ、米国内の製造業に投資して典型的な米国産業を活性化するという約束を果たす」と述べた。

今回の声明を受け、ゼネラルモーターズ(GM)やトヨタなど主要自動車メーカーが加盟する自動車イノベーション協会(AAI)のジョン・ボゼラ最高経営責任者(CEO)は「われわれが長い間言ってきたように、既存のGHG規制は達成するのが非常に困難だ」とし、「EPAの新しいリーダーシップによる再検討は前向きなことだ。米国のCO2排出に対するバランスの取れたアプローチは、車両の選択肢を維持し、業界が世界的に競争力を保持しつつ、今後数年間で国家の経済と安全保障を支える立場を維持するカギとなる」と再検討を歓迎した。一方で、「米国の排気ガス規制は連邦の3機関と複数の規則によって監督されているため、EPAの基準に対する変更は、運輸省とエネルギー省が監督するほかの(自動車関連)規制と調整する必要がある」と述べ、省庁間で統一の取れた基準値を策定するよう求めた。

(大原典子)

(米国)

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