トランプ米政権、適用開始日未定だった鉄鋼・アルミ派生品への232条関税徴収を開始

(米国、日本)

ニューヨーク発

2025年03月17日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は3月14日、1962年通商拡大法232条に基づく追加関税の適用開始日が未定となっていた一部の鉄鋼・アルミニウム派生品について、追加関税の徴収を開始した旨を官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公示した。

ドナルド・トランプ大統領は2月10日、米国が2018年以降に232条に基づいて鉄鋼・アルミ製品の輸入に課す追加関税に関して、(1)鉄鋼製品の追加関税は25%に据え置きつつ、アルミ製品の追加関税を10%から25%に引き上げること、(2)全ての適用除外制度を廃止すること、(3)特定の鉄鋼・アルミ派生品を新たに232条関税の対象に追加すること、(4)232条関税の対象を今後も追加するプロセスを創設すること、などを規定した大統領布告を発表した(2025年2月12日記事参照)。

同大統領布告で示された措置の多くは3月12日に適用が開始されたが、(3)新たに232条関税の対象に追加された特定の鉄鋼・アルミ派生品のうち、当該製品が含有する鉄鋼・アルミ材の価格に対してのみ追加関税が課される品目については、「商務長官の官報公示をもって発効する」として、具体的な適用開始日が示されていなかった(2025年3月12日記事参照、注)。

今回の官報で、商務省のハワード・ラトニック長官は「(232条関税)対象製品の関税を完全、効率的、迅速に処理し徴収するための適切な体制が整ったことを認める」として、新たに232条関税の対象に追加された特定の鉄鋼・アルミ派生品に対する25%の追加関税を全面的に適用開始したことを明らかにした。3月12日時点での対象製品の米国関税分類番号(HTSコード)は添付資料参照。

なお、2月10日の大統領布告では、(4)90日以内に232条関税の対象を今後も追加するプロセスを創設することを商務長官に指示しており、遅くとも2025年5月中旬までにその詳細が明らかになるとみられる。

(注)当該製品が含有する鉄鋼・アルミ材の価格が当該製品全体の価格を下回る場合には、含有する鉄鋼・アルミ材の価格および重量などを通関申告する必要がある。通関申告の詳細は、CBP311日に更新したガイダンス(鉄鋼外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますアルミ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。

(葛西泰介)

(米国、日本)

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