山東省、漁業や水産加工業など7つの海洋関連産業付加価値額が全国1位、港湾、バイオなどで技術開発推進

(中国)

青島発

2025年03月25日

中国山東省政府は3月12日、同省の海洋経済(注1)の質の高い発展に関する記者会見を開催した。発表の主な内容は次のとおり。

中国自然資源部によると、山東省の2024年の海洋総生産(注2)は前年比6.1%増の1兆8,011億8,000万元(約37兆8,248億円、1元=約21円)で全国2位となり、同省の域内総生産(GRP)の18.3%を占めた。そのうち海洋第一次産業は1,019億5,000万元、第二次産業は7,755億9,000万元、第三次産業は9,236億3,000万元で、それぞれ5.7%、43.0%、51.3%のシェアを占めた(注3)。同省の海洋経済のGRP寄与率は23.9%に達し、GRPを1.1ポイント押し上げた。

発表によると、山東省の主要な海洋産業の競争力はさらに強化されたとする。2024年の15の主要海洋産業の付加価値額は8,068億6,000万元で、5年連続で全国トップだった。うち海洋漁業、海洋水産加工業、海洋鉱業、海洋塩業、海洋化学工業、海洋電力工業、海洋運輸業の7つの産業の付加価値額は全国トップだった。海洋関連川上産業の付加価値額は前年比6.0%増の2,639億9,000万元、海洋関連川下産業の付加価値額は前年比5.9%増の4,230億7,000万元だった(注4)。

また、伝統的な海洋産業の転換とアップグレードも加速した。2024年、同省の海洋漁業、海洋運輸業、海洋観光業など11の伝統産業の付加価値額は前年比6.9%増の7,510億元となり、主要海洋産業の付加価値額の93.1%を占めた。海洋新興産業も引き続き成長した。海洋工程設備製造業、海洋医薬・生物製品業、海洋電力業、海水の淡水化・総合利用業の4つの新興産業の付加価値額は前年比7.3%増の558億6,000万元で、主要海洋産業の付加価値額の6.9%を占めた。

なお、山東省の科学技術厅など12部門は2024年12月19日に「山東省海洋産業科学技術革新行動計画(2025-2027年)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表している。山東省は今後、海洋に関わる技術イノベーションを加速させ、海洋人工知能(AI)、極地海洋、海洋ライフサイエンスなどの分野を中心に、極限環境用海洋工程設備、海洋バイオ医薬品、スマート・グリーン港湾などの先端技術のブレークスルーを目指し、約15の海洋分野のコア技術開発プロジェクトを展開するとしている。

(注1)海洋の生態系やその生態系が提供するサービスの保全と回復に重点を置きながら、経済成長、雇用創出、社会的・経済的統合のために、海洋資源を持続可能なかたちで利用すること。「ブルーエコノミー」とも呼ばれる。

(注2)「海洋関連産業分類」によると、海洋総生産とは、(1)海洋産業(海洋漁業、沿海・干潟養殖業、海洋水産品加工業、海洋石油・ガス産業、海洋鉱業、海洋塩業、海洋船舶工業、海洋工程設備製造業、海洋化学工業、海洋医薬品・生物製剤業、海洋工程建築業、海洋電力業、海水淡水化・総合利用業、海洋交通運輸業、海洋観光業の15種)、(2)海洋科学研究教育、(3)海洋公共管理サービス、(4)海洋関連川上産業、(5)海洋関連川下産業の付加価値額の合計を指す。

(注3)「海洋関連産業分類」によると、海洋第一次産業とは、海洋漁業など海洋から直接天然産品を得る産業を指し、海洋第二次産業とは、海洋塩業、海洋化学工業、海洋電力業、海水利用業など、海洋生物資源を加工・開発・利用する産業を指し、海洋第三次産業とは、海洋交通運輸業、沿海観光業など、海洋関連の生産・消費活動に対してサービスを提供する産業を指す。

(注4)「海洋関連産業分類」によると、海洋関連川上関連産業には、海洋関連設備製造、海洋関連材料製造などが含まれ、海洋関連川下産業には、海洋関連製品の再加工、海洋製品の卸・小売り、海洋関連の経営サービスなどが含まれる。

(張雪雯)

(中国)

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