模倣品対策強化に向け、フィリピン・エンフォースメント機関向けセミナーを開催
(フィリピン、日本)
シンガポール発
2025年02月14日
日本の特許庁(JPO)、ジェトロ、ジェトロが事務局を務める国際知的財産保護フォーラム(IIPPF、注1)の3団体は、タイの首都のバンコクにおける開催に続き(2025年2月10日記事参照)、2月6日にフィリピン知的財産庁(IPOPHL)などの協力の下、フィリピンの首都マニラにおいて「フィリピン・エンフォースメント機関向けセミナー」を開催した。
このセミナーは、フィリピンの税関・警察などのエンフォースメント機関職員に対し、日本企業製品の真正品と模倣品の判別手法〔真贋(しんがん)判定手法〕を説明するもの。今回はフィリピン側と日本側を合わせて約110人が参加した(注2)。
フィリピン・エンフォースメント機関向けセミナーの様子(ジェトロ撮影)
セミナー前半は、日本の税関の模倣品対策やフィリピン政府の最新の取り組みについて講演があり、後半は日系企業5社(ホンダ、クボタ、カヤバ、マツダ、セイコーエプソン)が自社製品の真贋判定手法や模倣品対策などを説明した。その他、フィリピン当局との真贋判定集の手交、日系企業による真正品と模倣品のサンプル展示、IIPPF作成の啓発動画(英語)上映を実施した。
また、翌日の2月7日にはIPOPHL、国家捜査局、税関局と意見交換を実施し、参加した日系企業からは「フィリピン当局に直接要望を伝えることができて有益だった」との声が寄せられた。
フィリピンでも、タイと同様、ビジネスにおいて知財権に基づく模倣品対策が重要だ。エンフォースメント機関側で真贋判定を行い、模倣品を摘発するには知財権の権利者の協力が必須で、同国でも日本企業製品の模倣品摘発がさらに促進されることが期待される。
フィリピン・日本代表の集合写真(ジェトロ撮影)
(注1)IIPPFは2002年4月、模倣品・海賊版など海外での知財権侵害問題の解決に意欲を有する企業・団体によって設立され、2024年12月現在で約250団体・企業が参加している。IIPPFを構成する地域・分野別の各プロジェクトでは、海外の政府機関や専門家との意見交換会などを実施している。
(注2)参加したフィリピン当局は次のとおり。いずれもフィリピン国家知的財産権委員会(NCIPR)のメンバー機関。
- フィリピン貿易産業省(DTI)
- フィリピン知的財産庁(IPOPHL)
- フィリピン税関局(BOC)
- フィリピン国家捜査局(NBI)
- フィリピン国家警察(PNP)
- フィリピン食品・医薬品局(FDA)
- フィリピン司法省(DOJ)
- フィリピン光メディア委員会(OMB)
- フィリピン国家書籍開発委員会(NBDB)
- フィリピン国際犯罪対策室(OSETIC)
- フィリピン内務地方自治省(DILG)
- フィリピン国家通信委員会(NTC)
- フィリピン情報通信技術省(DICT)
- フィリピン入国管理局(BI)
(西尾元宏)
(フィリピン、日本)
ビジネス短信 aa49240d35394467