大阪・関西万博を契機にチェコへの投資促進呼びかけ

(チェコ、日本)

調査部欧州課

2025年02月14日

ジェトロは212日、在日チェコ大使館、チェコ商工会議所、チェコインベストとの共催で「チェコ・日本ビジネス投資フォーラム2025」を開催した。チェコ議会のミロシュ・ビストゥルチル上院議長の来日の機会に開催され、会場にはチェコのミッション団約10社のほか、チェコに関心を寄せる日本企業から61人が参加した。

開会あいさつをしたジェトロの片岡進副理事長は、1990年代に加速した日本企業のチェコへの投資は一巡したかに見えたが、地政学の変化やEU環境規制などにより、チェコへの投資の波が再度来ていると述べた。

ビストゥルチル上院議長は両国の関係強化を訴えた。特に20254月から開催される2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)での協力や友好関係への貢献など、さまざまな観点からジェトロや日本商工会議所と議論を重ねたと述べた。

写真 講演するミロシュ・ビストゥルチル上院議長(ジェトロ撮影)

講演するミロシュ・ビストゥルチル上院議長(ジェトロ撮影)

チェコ商工会議所のラデク・ヤクプスキー副会頭は、チェコから今回参加しているゲームや人工知能(AI)分野の企業を紹介した。こういった起業家に対し、商工会として新しいパートナーシップの場を提供するとともに、日本企業へ積極的な投資を呼びかけた。

日本商工会議所の畠山一成常務理事は、万博の機会を捉えてチェコと日本、伝統産業とイノベーションの融合が拡大するよう願っていると歓迎のあいさつを述べた。

講演を行った万博のチェコ政府代表のオンドジェイ・ソシュカ氏は「チェコの大阪万博への参加:チェコ・日本企業にとってのビジネス機会」と題し、チェコパビリオンについて紹介した。ガラスなどの伝統産業やコンサートといった文化的なイベントのほか、ビジネスカンファレンスやネットワーキングを企画しており、チェコ館への来訪を訴えた。

チェコインベストのヤコブ・ハーイェク駐日代表は「チェコと日本のシナジーを解き放つ」と題した講演で、チェコには工科大学卒業生が多く、エンジニアなどの人材が豊富なことをアピールした。また、ゲーム産業の集積については、チェコには155ものスタジオがあり、制作されたゲームの98%が輸出されている現状を紹介し、日本企業との共同開発の可能性を訴えた。

最後に、ジェトロ企画部の志牟田剛主査は「チェコの経済概況と日系企業の進出動向」として、近年の投資事例を紹介した。チェコでは2024年7月に雇用法が改正され(2024年6月10日記事参照)、投資先としてのチェコの魅力がますます高まっているとした。

(伊尾木智子)

(チェコ、日本)

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