パキスタン中銀、政策金利を12.0%に引き下げ

(パキスタン)

カラチ発

2025年02月13日

パキスタン中央銀行(SBP)は1月27日、金融政策決定会合(MPC)を開催し、政策金利(レポレート)を2024年12月の13.0%から12.0%に1ポイント引き下げると発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、翌28日から発効した。2024年11月に17.5%から15.0%(2.5ポイント引き下げ)、12月には15.0%から13.0%(2.0ポイント引き下げ)とインフレの緩和に呼応して政策金利が引き下げられたが、今回は1.0ポイントと下げ幅が縮小した(添付資料図参照)。

これに先立ち、パキスタン計画・開発省は1月2日、2024年12月の消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)を前年同月比4.1%と発表し、食品価格を中心に物価が安定していることを示していた(2025年1月21日記事参照)。

SBPは2024年6月以降、インフレ率の低下に準じて段階的に政策金利を引き下げてきた。今回の対応により、2023年7月から1年間続いたピーク時の金利22.0%から累計で10.0ポイント引き下げたことになる。この対応に対し経済界からは、より大胆な引き下げを求める声があがっている。現地報道によると、パキスタン商工会連合会(FPCCI)のイルファン・イクバル・シェイク会長は、インフレ率と政策金利の乖離が大きいことを指摘しつつ、「政策金利の引き下げ幅は不十分であり、早急に5ポイントの引き下げが必要」との声をあげている(「ビジネス・レコーダー」紙1月28日)。

SBPは1月のMPCで、「インフレの減少傾向は、主に電気料金の引き下げ、主要食品の十分な供給による食品インフレの低下、為替レートの安定などによる」としつつ、「コアインフレは緩和されつつも依然として高水準だ」と言及。短期的には世界的な物価上昇圧力や主要国の保護主義的な政策を背景に、今後の国内物価動向も不透明で余談を許さない状況として、今後も慎重な姿勢を維持することを示唆している。

(糸長真知)

(パキスタン)

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