1月の物価上昇率は前月比2.2%、鈍化が継続

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2025年02月26日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は2月13日、1月の消費者物価指数(CPI)上昇率PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が全国平均で前月比2.2%増だったと発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響によって外出が厳しく制限されていた2020年7月以来の低い水準だった。前年同月比(年率)では84.5%増で、ピーク時(2024年4月)の289.4%から続く鈍化傾向が継続した結果、2022年9月以来の低い水準となった(添付資料図参照)。CPI上昇率が落ち着いた要因として、外貨購入に対して課税されるパイス税の廃止(2025年1月21日記事参照)と為替市場が安定的に推移していることが挙げられる。

1月の前月比の伸び率を項目別にみると、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスは0.4%で、季節変動要因のある品目を除いたコアインフレ率は2.4%、エネルギーや公共サービスなどの価格が規制されている財・サービスは2.6%だった。

前月比の伸び率を費目別にみると、平均値を上回ったのは、外食・ホテルの5.3%、住宅・光熱・その他燃料の4.0%、その他の財およびサービスの2.5%など(添付資料表1参照)。CPIに占める比重が大きい食品・飲料(酒類を除く)は1.8%と、前月の2.2%から減速した。前月比で平均値を下回った費目は、輸入品の増加によって影響を受けた衣類・靴類がマイナス0.7%だった。年率で平均値を大幅に上回ったのは、住宅・光熱・その他燃料の217.7%、教育の168.6%、通信の134.3%だった。

ジェトロがブエノスアイレス市内で独自に調査した2月20日時点の品目別の物価をみると、前月に比べて多くの品目で変化が見られなかった。また、値下げも目立った(添付資料表2参照)。

2月20日付でアルゼンチンサービス商業会議所(CAC)が発表したレポートによると、インフレ率が低下傾向にある中で、1月の季節調整済み消費指数(IC)は前月比で4.3%増、前年同月比5.4%増と大きく改善した(注)。飲料、食品、家庭用品などの日用品の消費拡大とともに、カードローンなど消費者金融の利用も増えたことにより、家電製品や自動車など耐久消費財の消費も大きく増加した。CACは、今後もその傾向が続くとしている。

(注)ICは、消費財・サービスの家計消費の水準を表す統計。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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