リチウムイオン電池製造のフレイア・バッテリー、米ジョージア州での工場設立を断念
(米国、ノルウェー)
アトランタ発
2025年02月17日
リチウムイオンバッテリー(Lib)製造スタートアップのフレイア・バッテリーは2月10日、米国ジョージア州からテキサス州オースティンにグローバル本社を移転し、34ギガワット時(GWh)の生産能力を持つバッテリー工場建設のために購入したジョージア州コウェタ郡の土地を売却する契約を締結したと発表した。
2018年にノルウェーで設立されたフレイアは蓄電などに利用されるLibの製造企業で、2021年7月には米国ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場した。2022年11月にはジョージア州コウェタ郡でのバッテリー生産施設の段階的な建設計画を発表し、初期段階で約34GWhのバッテリー生産を目指していた。2029年までに26億ドル以上の設備投資を行い、新たに720人を雇用し、リン酸鉄Libを搭載したバッテリー・エネルギー貯蔵システムを製造する計画だったが、生産施設建設そのものが中止となった。同社によると、今回の決定の背景には、金利上昇やバッテリー価格の下落、同社経営陣の交代、目標の転換(注)があるという(「ニューナン・タイムズ・ヘラルド」電子版2月6日)。
同社はテキサス州ウィルマーに太陽電池モジュール製造施設を有しており、同州オースティンにグローバル本社を移転することで、米国での太陽光発電と蓄電の統合ネットワークを構築する戦略を進め、同州内で1,000人以上の新たな雇用を生み出すとのことだ。
なお、ジョージア州の工場建設計画については、州と地元当局が3億5,800万ドル以上の補助金、減税、その他の優遇措置を約束していた。既に承認された2,000万ドルの助成金は当局に返還することで合意済みという。
(注)フレイアのトム・アイナー・イェンセン最高経営責任者(CEO、当時)は2024年8月、投資家に対し、低コストの中国製バッテリーの過剰生産によりバッテリー製造のための資金調達が困難になっていると説明。太陽光パネル製造など、資金が増やせる事業に戦略を切り替えていると述べた(AP通信2月7日)。
(横山華子)
(米国、ノルウェー)
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