ノーム米国土安全保障長官、ベネズエラからの移民の一時保護資格停止を発表

(米国、ベネズエラ)

ニューヨーク発

2025年02月07日

米国移民局(USCIS)は2月3日、米国国土安全保障省(DHS)のクリスティ・ノーム長官が、2023年のベネズエラの一時保護資格(TPS)指定の取り消しを決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしたと発表した。2月5日付の官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公示された。対象者は2023年にTPS指定を受けた約34万8,000人で、4月2日にTPS指定が失効された後は、TPSを受ける前の移民ステータスに戻ると発表されている。ドナルド・トランプ大統領は2月1日、SNSのトゥルース・ソーシャルで、「われわれは、不法滞在者の記録的な数の強制送還を実施し、全ての国がこれに同意している」「ベネズエラは輸送手段を提供することにも同意した」と投稿した。

官報によると、ベネズエラからの移民に対し2023年10月3日に行われたTPS指定延長(2023年10月6日記事参照)の判断基準として、(1)ベネズエラ人が同国に安全に帰還するには一時的に異常な状況であること、(2)ベネズエラ人による米国での一時的な滞在は米国の国益に反しないことが定められていた。

しかし、ノーム氏は協議の結果、(1)ベネズエラでは、一定の異常な状況は続く可能性があるものの、全体として経済、公衆衛生、犯罪などいくつかの方面で明らかに改善されているため、もはや2023年のTPS指定延長の条件を満たしていない、(2)ベネズエラ人の米国での一時滞在を許可することは国益に反するとしている。

上記(2)の対策として官報では、バイデン前政権の人道的仮釈放といわれるプログラム「キューバ人、ハイチ人、ニカラグア人、ベネズエラ人のためのプロセス(CHNV)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を、トランプ氏は米国の政策に反するとして、ノーム氏に廃止するよう指示したことも書かれている。

2025年になって、バイデン前政権下のDHSは1月10日、スーダン、ウクライナなどと並び、ベネズエラは非人道的なマドゥロ政権下の政治的・経済的危機により、人道的緊急事態に直面し続けているとし、同国から2023年7月31日までに入国した移民約60万人のTPSと労働許可を18カ月延長すると発表していた(2025年1月20日記事参照)。

なお、トランプ氏は2025年1月28日、窃盗、強盗、法執行官への暴行、死亡または重傷を負わせる犯罪で告発された不法移民の連邦政府による拘留を義務付ける「レイケン・ライリー法」に署名外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。DHSの発表によると、同法律は、前政権下で米国に仮釈放された、前科のあるベネズエラ国籍の移民に殺害されたジョージア州の看護学生にちなんで命名された。

(吉田奈津絵)

(米国、ベネズエラ)

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