ジェトロ、アジア・アフリカ農業・漁業商談会を開催
(インドネシア、カンボジア、インド、スリランカ、パキスタン、バングラデシュ、ウズベキスタン、トルコ、タンザニア、ケニア、エジプト、チュニジア、モロッコ、ナイジェリア、ガーナ)
海外展開支援部フロンティア開拓課
2025年02月28日
ジェトロは1月20日から2月21日にかけて、「アジア・アフリカ広域農業資機材・アグリテック・漁業資機材オンライン商談会」を開催した。農業分野および漁業分野の日本企業29社が参加した。海外バイヤーはアジア、中東、アフリカの15カ国(インドネシア、カンボジア、インド、スリランカ、パキスタン、バングラデシュ、ウズベキスタン、トルコ、タンザニア、ケニア、エジプト、チュニジア、モロッコ、ナイジェリア、ガーナ)から27社が参加し、合計103件の商談が実施された。
この商談会は、日本の農業および漁業関連企業がアジア、中東、アフリカの新興市場への販路を拡大する機会を提供するために開催した。漁業分野やアフリカを含めた広域での商談会開催は初めて。アジアやアフリカにおいて、農業は基幹産業としての重要な位置づけである一方、生産性向上や農家の生活水準改善などの課題も抱えており、高効率化に寄与する農業資機材・技術への関心が高まっている。また、豊富な水産資源を有する沿岸諸国では、世界でも有数の水産物漁獲量を誇り、漁業や養殖業は急成長産業として注目されている。
日本企業は、農業分野では精米機などの機械や灌漑設備のほか、バイオスティミュラント(注1)、肥料、スマート農業を進めるサービスを手掛ける企業が、漁業分野では魚群探知機や養殖用のナノバブル発生装置を扱う企業が参加した。農業分野では、現地の生産者団体を顧客に持つバイヤーから、現地の農業が抱える生産性向上や収量増加、気候変動などの課題にアプローチできる製品に関心が集まった。例えば、水資源を効率的に利用できる灌漑設備、肥料やバイオスティミュラント、グリーンハウスなどだ。また、漁業分野では、砂漠化や水不足といった社会課題を抱えるモロッコやケニアのバイヤーから、アクアポニックス(注2)の技術に引き合いが寄せられた。海外バイヤーからは次のステップとして、「実物を使ってみたい」「現地を訪れて農業の現場を見てほしい」といった声があり、サンプル品送付や対面での取引につながる動きがみられた。先端技術が使われた商材を求めて参加したモロッコのバイヤーからは「大学など現地の研究機関と実証実験を行い、環境にやさしい新技術としてビジネスにつなげたい」という声が聞かれた。
商談会に参加した、中古トラクターなどの農業機械や食品乾燥機の輸出を手掛ける三光通商代表取締役の西村隆氏は「現在の輸出先は欧州、アジアが中心だが、成長著しくポテンシャルの高いアフリカ市場にも販路を広げたい。日本企業の製品は中古でも価格が高いといわれるが、故障が少ないなど品質の高さを理解してもらうことが大切。現地で調達できる部品も限りがあるなど課題も多いが、長期的な視点で信頼関係を築きながら取引を広げていくことが重要」と述べた。
オンライン商談会の様子(ジェトロ撮影)
(注1)バイオスティミュラントとは、植物や土壌により良い生理状態をもたらす物質や微生物で、農作物の増収や品質改善に効果的な農業資材のこと。
(注2)アクアポニックスとは、水産養殖(Aquaculture)と水耕栽培(Hydroponics)を組み合わせた造語で、魚と野菜を同じシステム内で一緒に育てる生産手法のこと。魚の排泄物を微生物が分解し、植物がそれを栄養として吸収、浄化された水が再び魚の水槽へと戻る生産システムで、生産性と環境配慮が両立できる。
(大羽広太)
(インドネシア、カンボジア、インド、スリランカ、パキスタン、バングラデシュ、ウズベキスタン、トルコ、タンザニア、ケニア、エジプト、チュニジア、モロッコ、ナイジェリア、ガーナ)
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