OPEC、世界石油需要は前月予測を維持、OPECプラス1月生産量は前年通年より日量31万バレル減

(中東、アフリカ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、世界、米国、中国、インド)

調査部中東アフリカ課

2025年02月25日

OPEC(注1)は2月12日、2025年2月版の石油市場報告書「Monthly Oil Market Report外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。同報告書によると、1月の原油価格は強含みで推移した、としている。OPEC基準原油バスケット価格(注2)は 前月比6.31ドル(8.6%)上昇で79.38ドル/バレル、北海ブレントが5.22ドル(7.1%)上昇で78.35ドル/バレル、米WTIは5.40ドル(7.7%)上昇で75.10ドル/バレルとなり、その他の主要原油もそろって上昇した。原因として、短期的な原油供給の不確実性や、中国の需要の回復期待などを挙げている。

また、世界石油需要は健全な伸びを示しているとも指摘している。世界の石油需要は前月の評価とほぼ変わらず、2024年に日量1億375万バレルだったところ、2025年に前年比145万バレル(1.40%)増の日量1億520万バレル、2026年に前年比で143万バレル(1.36%)増の日量1億663万バレルになるとの予測を維持した。

また、2025年の石油需要は多くの国・地域で前年から増加する見込みだ。加えて2026年も主要国・地域で増加し、特にインドが4.67%増、アフリカが2.36%増など、高い伸びが見込まれる(各国・地域の2025年の日量の需要予測は添付資料表1のとおり)。

現行の減産方針を2026年末まで延長、1月は2024年より生産減でスタート

OPECプラス(注3)は2024年12月5日 に第38回閣僚級会合を開催し、現行の減産方針について、2026年12月31日まで延長実施することで合意(2024年12月9日記事参照)した。続いて2025年2月3日に第58回閣僚合同監視委員会を開催し、これらの生産調整によって石油市場の安定が確保されたことを指摘し、各国のコミットメントを再確認した。2月版の石油市場報告書によると、2025年1月のOPECプラスの原油生産量は2024年通年比で31万バレル減の日量4,063万バレルだったという。ロシアの減産とリビアの増産が目立つ(1月の主要な国・地域での日量石油生産は添付資料表2を参照のこと)。

また、2024年の世界石油需給バランス(日量バレル)については、需要1億370万バレルに対し、非OPECプラスの生産が6,150万バレルで、その差異は4,220万バレルとなったが、OPECプラスの生産量は4,090万バレルで、130万バレル不足となった。その分、在庫が減少している。

2025年の同予測(日量バレル)は同様に、需要1億520万バレル、非OPECプラス生産6,260万バレルで、その差異が4,260万バレル(OPECプラスに期待される生産量)と予測されるが、1月のOPECプラスの生産量はそれを下回っている。

2026年の同予測(日量バレル)は、需要1億660万バレル、非OPECプラス生産6,370万バレル、その差異4,290万バレル(OPECプラスに期待される生産量)と予測されている。

(注1)OPECは、イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラ、リビア、アラブ首長国連邦(UAE)、アルジェリア、ナイジェリア、ガボン、赤道ギニア、コンゴ共和国の12カ国で構成。

(注2)OPEC諸国の代表的な原油の価格を荷重平均して算出。

(注3)OPECプラスは、OPEC加盟国に加えて、アゼルバイジャン、バーレーン、ブルネイ、ブラジル、カザフスタン、マレーシア、メキシコ、オマーン、ロシア、スーダン、南スーダンで構成。なお、ブラジルはオブザーバー国との位置づけも表明している。

(中口克哉)

(中東、アフリカ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、世界、米国、中国、インド)

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