2024年のGDP成長率は5.03%、政府目標に未達

(インドネシア)

ジャカルタ発

2025年02月12日

インドネシア中央統計庁(BPS)は2月6日、2024年の実質GDP成長率を前年比5.03%と発表した。成長率は3年連続で5%を超えたものの、前年の5.05%増からは若干鈍化し、政府目標の5.2%には達しなかった。家計消費や投資は2023年より成長幅が増加したが、純輸出額の減少などが影響した。併せて、第4四半期(10~12月)のGDP成長率は前年同期比5.02%増と発表した(添付資料図参照)。

支出別では、GDPの5割超を占める家計最終消費支出が4.94%増だったほか、政府支出が6.61%増、投資などを示す総固定資本形成は4.61%増と推移した。輸出入はともに2023年より増加し、輸出は6.51%増、輸入は7.95%増となった。輸出入に関しては、2020年5月以降、輸出額が輸入額を上回る月が続いており、貿易収支は黒字を維持している。一方で、単年の貿易黒字額は国際資源価格の高騰を主因として、2022年に過去最高を更新した後、減少傾向にある(2025年1月27日記事参照)。

業種別では、主要17業種全てが前年比プラスとなった。その他サービス9.80%増、運輸・倉庫8.69%増、宿泊施設・飲食8.56%増の順で成長率が高かった。GDP構成比で20.27%を占める製造業は4.43%増にとどまった。

国内を主要6地域に分けた地域別では、GDP全体の57.02%を占めるジャワ島(ジャカルタ特別州を含む)が4.92%成長した。その他、鉱業などが盛んなマルク・パプア島7.81%増、スラウェシ島6.18%増だった。新首都「ヌサンタラ」の開発が進むカリマンタン島では、前年の5.43%から成長が加速し、5.52%増だった。

インドネシア大学経済経営学部経済社会研究所(LPEM FEB UI)は2月5日に公表した2025年第1四半期(1~3月)の経済見通しにかかるレポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、「2025年には米国の貿易政策が引き金となり、輸入物価が軒並み上昇する可能性があるほか、米国準備制度理事会(FRB)による金融政策の動向も不透明な状況だ。新政権は経済成長率を8%に引き上げるとの目標を掲げているが、外部リスクを抑制する適切な緩和策と具体的な経済構造改革がなければ、インドネシア経済は8%の目標達成はおろか、5%程度の安定的な成長も望めないかもしれない」としている。

(八木沼洋文)

(インドネシア)

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