ルーマニアで連立新政権発足、大統領選には統一候補を擁立

(ルーマニア)

ブカレスト発

2025年01月06日

ルーマニアで2024年12月23日、イオン=マルチェル・チョラク首相が続投する新内閣が、上下両院合同議会において過半数の賛成(賛成240票、反対143票)を得て承認された。これを受け、クラウス・ヨハニス大統領は同日、親欧州派政党の連立から結成される新内閣を任命した。連立政権は、社会民主党(PSD)、国民自由党(PNL)、ハンガリー人民主同盟(UDMR)、少数民族議会グループから成る。

12月1日に行われた上下両院選挙(2024年12月4日記事参照)では、PSDが第1党となったが、極右政党の躍進を受け、これまで連立を組んでいたPNLを足しても過半数の議席獲得には届かず、新たにUDMR、少数民族議会グループを加えるかたちで親欧州派連立を組むことになった。

新内閣で省庁再編が行われ、首相と副首相のほか、閣僚16人(うち2人は副首相兼務)のうちPSDに8つ、PNLに6つ、UDMRに2つの閣僚ポストが割り当てられた(添付資料表参照)。主要閣僚では、外相に前駐オーストリア大使のエミル・フレゼアヌ氏(PNL)が新任、財務相兼副首相にタンチョス・バルナ氏(UDMR)が新任、運輸・インフラ相にソリン・グリンデアヌ氏(PSD)が留任、エネルギー相にセバスティアン・ブルドゥージャ氏(PNL)が留任したほか、前内閣で研究・イノベーション・デジタル化相を務めたボグダン・イバン氏(PSD)は経済・デジタル化・起業・観光相(旧経済・起業・観光相)に横滑りした。

新内閣の発足により、大統領選挙の動向が注目される。2024年11月24日に実施された大統領選では違法な選挙キャンペーンが確認されたなどの理由で、ルーマニア憲法裁判所が12月6日に選挙を無効とする判断を示した(2024年12月10日記事参照)。新たな大統領選挙の日程は、新内閣により決定される。また連立政党は12月23日、「連立議定書の条項の1つとして、大統領選に向け統一候補を擁立することが合意された。(元PNL党首の)クリン・アントネスク氏を次期大統領候補とし、安定した政権樹立のために協力していく」と表明した(国営通信社「アジェルプレス」12月23日)。

(高崎早和香)

(ルーマニア)

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