キリンホールディングスの「エレキソルト スプーン」がCESで注目
(米国、日本)
サンフランシスコ発
2025年01月21日
米国の先端技術見本市「CES 2025」が1月7~10日、ネバダ州ラスベガスで開催された(2025年1月8日記事参照)。主催者によると、参加者は14万1,000人超となり、2024年に比べ約2,000人増加したほか、出展者は4,500以上、6,000以上のメディアやインフルエンサーが参加したということだ。
CESに出展する製品のうち、特に評価されたものにはイノベーションアワードが贈られる(2025年1月16日記事参照)。受賞製品は、展示会場のイノベーションアワード・ショーケースエリアで製品を展示することができ、受賞した優れた製品を一挙にチェックできるため、多くの人でにぎわう。
そのアワード・ショーケースで注目を集めていたのが、日本のキリンホールディングスが販売する微弱な電流の力で塩味を感じやすくさせるスプーン「エレキソルト」だ。同社は、デジタルヘルス、および製品の利用に関するアクセシビリティと高齢者向けのエイジテック分野でイノベーションアワードを受賞した。同社のヘルスサイエンス事業本部新規事業グループ・エレキソルト事業責任者の佐藤愛主務によると、「病院関係者などと話していたところ、減塩食を続けられる人が少なく、途中で離脱してしまうことが多いと聞き、何かできないかという課題意識から開発をスタート。イグノーベル賞を受賞した明治大学の宮下芳明教授と2019年に出会い、共同研究、商品化が一気に進んだ」ということだ。
エレキソルト開発者の佐藤さん(ジェトロ撮影)
「2024年、日本国内で発売を開始し、海外からの問い合わせも多かったため、現在は北米や欧州など商品の販路を検討している段階。イノベーションアワード受賞によりメディア露出が増え、フィナンシャル・タイムズやBBCから取材を受けるなど、問い合わせもさらに増えている」という。同社のブースでは、既に米国で販売しているのか、スプーンの大きさは変えられないか、食洗器は使えるのかなど、問い合わせが止むことはなかった。
さらに、米国サンフランシスコに拠点を置くメディアグループCNETグループが選ぶ「Best of CES」の「Best Wired Tech」にも選出。低ナトリウム食の味を向上させるための革新的なソリューションだ、と評価されるなど、複数のメディアで取り上げられる話題の製品となっていた。
(芦崎暢)
(米国、日本)
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