中小企業支援法案、企業間連携や投資促進など強化

(イタリア)

ミラノ発

2025年01月27日

イタリア政府は1月14日、中小・零細企業を支援する年次法案について閣議決定した。中小・零細企業のネットワーク化や生産システムの革新、資金調達の改善などを目的とする。

主な措置としては、ファッション産業への投資促進策や、サプライチェーンを管理するコンソーシアムの新設、また企業間連携への新たな優遇税制などが挙げられる。さらに、若者の雇用支援および技能継承の促進、外食産業などにおけるネット上の虚偽の口コミ・評価への対策、また同業者団体による信用保証組織コンフィディ(Confidi)などの規制を20年以上ぶりに見直し、資金調達を簡素化することなどが盛り込まれている。

具体的には、ファッション産業の海外市場での競争力強化のために、企業間の連携および投資促進を推奨し、投資額が300万ユーロ以上2,000万ユーロ以下のプロジェクトの支援に、「ミニ開発契約」として総額で最大1億ユーロを割り当てる。また、新設されるコンソーシアムは、サプライチェーンの競争力やイノベーション強化を目的としており、相互扶助が担保されるよう、企業・メードインイタリー省が監督権を持つことが定められている。若者の雇用促進については、従業員数50人までの企業が35歳未満の若者を採用した際に助成し、併せて定年退職予定者のパートタイム雇用に対しても助成することで、技能継承の円滑化を図る。外食・観光業における虚偽のネット上の口コミ・評価対策では、適正な競争の保護を目的とし、実際にサービスや商品を購入した消費者によって書かれたものかなど、信頼性について精査する義務の導入なども検討している。

アドルフォ・ウルソ企業・メードインイタリー相は「イタリア経済、そしてメードインイタリーのアイデンティティの心臓部である中小企業の役割を強化し、わが国の産業政策の転換点とする」と期待感を示した。イタリア商業連盟は「中小・零細企業の資金調達などに関する規制の再編成を、政府主導で行うことなどを評価する」と賛意を示し、外食・観光・娯楽産業の中小企業団体であるイタリア飲食業連盟(FIPE)も「外食産業などは長い間、誤解を招くネット上の口コミにより経済的ダメージを受けており、法案に盛り込まれたことは大きな進歩だ」と歓迎した。

(平川容子)

(イタリア)

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