アフリカの2024年の就業人数は5億5,560万人、失業率は6.5%、ILO報告

(アフリカ)

調査部中東アフリカ課

2025年01月21日

ILOは、1月16日に発表した報告書「世界の雇用と社会の見通し、2024年の傾向外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」において、経済成長は緩やかながら減速し、インフレ率も低下したものの高止まりしており、地政学的緊張、気候変動によるコストの上昇、債務問題などが労働市場を圧迫していると指摘した。2024年の世界の失業率は5%で安定したが、若年層(15〜24歳)の失業率は12.6%と高止まりしたという。

アフリカの失業率は改善傾向

アフリカは、2024年の就業人数は5億5,560万人で、失業人数は3,840万人だった。2024年の失業率は6.5%と世界よりも高いが、2026年までに6.3%まで改善するとの予測だ。アフリカの近年の失業率推移は次のとおり。

  • 2021年:7.4%
  • 2022年:6.6%
  • 2023年:6.4%
  • 2024年:6.5%
  • 2025年:6.4%
  • 2026年:6.3%

北アフリカの若年層の失業率が特に高い

報告書によると、北アフリカの2024年の失業率は10.1%となっており、サブサハラ・アフリカの5.9%より大幅に高かった。さらに、北アフリカの若年層の失業率は22.8%で、世界の地域別で湾岸諸国を中心としたアラブ諸国の27.5%に次いで高いとする。特に女性の若年層の失業率が37.9%と高かったという。

サブサハラ・アフリカでは安定もリスク要因も

同報告書では、サブサハラ・アフリカにおいて、2024年には就業人口比率は65.9%に達するが、フォーマルな仕事についている割合は低いと指摘する。なお、失業率の見通しは安定しているとした。また、週平均労働時間は38時間前後だという。アンゴラ、ナイジェリア、コンゴ民主共和国などでは、石油・ガスや鉱物関連需要が伸びれば、労働市場に良い影響を与える可能性がある。再生可能エネルギー施設やインフラ建設などで労働需要が増える可能性もあるが、気候変動による農業、公的債務、経済に関するリスクも大きい。エチオピアやスーダンなど紛争によって、観光や工業など経済や労働に影響がある国もある。

なお、サブサハラ・アフリカでは、海外での出稼ぎ労働者が約2,830万人と多い。2023年の移民労働者からの郷里送金額はGDP比2.6%となり、ODA受領額が国民総所得(GNI)比で約3%、海外直接投資(FDI)流入額がGDP比の2%と同規模だ。郷里送金額は、名目ベースでは過去20年間で年率12.1%上昇したという。

(井澤壌士)

(アフリカ)

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