香港「Design Inspire」開催、日本企業がインテリア商材で挑戦
(香港)
香港発
2025年01月07日
香港貿易発展局(HKTDC)は2024年12月5~7日、デザインに優れた日用品・商品をテーマとした展示会「Design Inspire」を開催した。国・地域パビリオンとして、フランスと台湾のほか、日本建築材料協会が日本企業を束ねて構成したジャパンパビリオンを出展した。
ジャパンパビリオン内に出展した日本企業の1社、石川県金沢市で金沢箔(はく)の製造・販売を運営する箔一が、箔アートパネルと和紙やフィルムに金箔を施したインテリア装飾用商材を出品した。同社は、内装関係では国内外のスーパーブランド内装や商業施設の建装などの実績を多数持っている。2024年5月には、インテリア装飾分野で米国・ニューヨークの展示会に出展し、次なる海外展開の舞台として香港を選んだ。同社の浅野達也代表取締役社長は「香港には商業施設を中心に豊富なビジネスチャンスがあり、中国を含むアジア市場への進出を見据えた重要なステップとなる」と述べた。
ジャパンパビリオン出展企業のうち、香港デザイナーとコラボした企業は5社で、香港デザイナーが設計し、出展企業が制作した試作品を会場で披露した。インテリア小物などを展開している他国・地域のブースとは異なり、金属性のドアハンドルや障子を利用したテーブルランプなどの試作品が並び、来場者の注目を集めた。
このコラボレーションを企画したのは香港貿易発展局大阪事務所長のリッキー・フォン氏だ。フォン氏よると、今回の試作品は、香港貿易発展局とパビリオンコーディネーターの推薦により、異なる得意分野を持つ香港デザイナー5人と、出展5社がそれぞれコラボレーションして開発したという。フォン氏は出展までの流れについて、「出展者とデザイナーは今年(2024年)6月に最初のオンラインミーティングを行った。デザイナーはその後来日するなど、双方はさらにミーティングを重ねて、わずか5カ月間でこのように試作品を展示することができた」と述べた。また、フォン氏は「海外に売れる商品を開発するには、現地の利用者のコメントを受け入れ、試行錯誤を繰り返す。通常は少なくとも3年はかかるだろう」との見方を示した。
展示会初日(12月5日)の午前中は、同コラボレーションをテーマにしたトークセクションが開催された。登壇者である香港のデザインスタジオ「hintegro(ヒンテグロ)」の創業者キース・チャン氏は、「日本企業は百歩先を考えてから動きだす傾向がある。時間をかけて検討し終えたときには、トレンドがすでに変化しているという恐れがある。逆に、香港では早々にスタートして、途中で軌道修正することも多く、リスクが高い。ちょうどいい繊細なプランニング、そして香港市場に求められるスピード感と、香港市場が求める商品の迅速な開発には、『香港設計・日本製造』が一番だ」と述べた。
ジャパンパビリオンの様子(ジェトロ撮影)
(周天任)
(香港)
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