アフリカのワーカー月額賃金は世界最低水準、アディスアベバ16ドル、ラゴス31ドル
(ナイジェリア、エチオピア、南アフリカ共和国、エジプト、コートジボワール、ガーナ、モロッコ、モザンビーク、ケニア、アフリカ、世界)
調査部中東アフリカ課
2024年12月20日
ジェトロが12月19日に公表した「2024年度 アフリカ投資関連コスト比較調査」(注)によると、アフリカの賃金は世界で最も低い水準だった。なお、エチオピアやナイジェリアでは、前年から50%以上通貨が下落しており、ドル換算での金額に影響した(2024年12 月20日記事参照)。
賃金はエチオピアで低く、南アが高い
アフリカの調査対象9都市における製造業のワーカー(一般工職)の賃金(月額)は次のとおり。
- エチオピア・アディスアベバ:16ドル
- ナイジェリア・ラゴス:31ドル
- ガーナ・アクラ:54ドル
- モザンビーク・マプト:195ドル
- エジプト・カイロ:199ドル
- ケニア・ナイロビ:249〜986ドル※2022年時点
- モロッコ・カサブランカ:307~614ドル
- コートジボワール・アビジャン:401~1,083ドル
- 南ア・ヨハネスブルク:1,545ドル
世界でアフリカが最も安い水準
アフリカ域外をみると、中東を対象にした調査ではワーカーの賃金(月額)の幅は827〜2,463ドルで、トルコ・イスタンブールが低く、イスラエル・テルアビブなどが高かった(2024年12月6日記事参照)。
欧州を対象にした調査では、ドイツ・ミュンヘンが5,346ドルで最も高く、一方、ブルガリア・ソフィア(1,110ドル)、セルビア・ベオグラード(624~1,627ドル)、ウクライナ・キーウ(296ドル)などでは低い。南米を対象とした調査で、最も安価な都市はパラグアイ・アスンシオンで348ドルだ。東アジアを対象とした2023年の調査によると、中国・北京で970ドル、深センで415ドル、東京は2,018ドル、韓国・ソウルは2,426ドルだ。アジア・大洋州を対象とした2022年の調査によると、主要都市では、バンコクで385ドル、ホーチミンでは311ドル、マニラで294ドル、ニューデリーで281ドルとなり、賃金が低い都市をみると、スリランカ・コロンボで87ドル、ミャンマー・ヤンゴンで92ドル、ラオス・ビエンチャンで97ドルだった。
世界各地域の調査の詳細は「投資関連コスト比較調査」を参照。
人口増加も、賃金は上昇
また、アフリカの人口は2024年に15億1,514万人のところ、2050年には24億6,665万人となる予測で(「アフリカの人口急増と物流・貿易動向」参照)、安価な労働力が豊富にあるといえる。
一方、「2024年度 海外進出日系企業実態調査(アフリカ編)」によると、在アフリカ日系企業の2024年の現地従業員の基本給ベースアップ率(名目)は、平均で13.1%だった。国別ではナイジェリアが34.1%で最も高く、ガーナ(26.8%)とエジプト(24.8%)が続くなど、インフレ率が高い国などで基本給が上昇した。なお、同調査では、アフリカでの投資環境に課題も多いとの結果だ。
(注)同調査は2024年8~10月にアフリカの9カ国9都市を対象に、賃金や地価・事務所賃料、公共料金、輸送および税制などの投資関連コストを調査し、とりまとめた。
(井澤壌士)
(ナイジェリア、エチオピア、南アフリカ共和国、エジプト、コートジボワール、ガーナ、モロッコ、モザンビーク、ケニア、アフリカ、世界)
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