ブラジルがCOP29で、2035年までの温室効果ガス排出削減目標引き上げを発表

(ブラジル)

サンパウロ発

2024年11月18日

ブラジルのジェラルド・アルキミン副大統領兼開発商工サービス相とマリーナ・シルバ環境・気候変動相は11月13日、アゼルバイジャンのバクーで開催中の国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)において、新たな温室効果ガス(GHG)排出削減目標(NDC)を国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)に提出した。GHG排出量を2035年までに2005年比で59~67%削減するとの目標を定めた(注)。

環境・気候変動省の公式リリース(11月14日付)によると、ブラジルは67%削減の目標達成に全力を尽くすものの、経済、国際情勢、技術開発の進展などにおいて大きな変化があった場合に対応する必要があるため、目標値の上限と下限を設定した。なお、新たなNDC実施を促進するための具体的な政策は、作成中の気候計画により定められる予定で、同計画の発表は2025年に行われる見込みだ。

シルバ環境・気候変動相は同日の記者会見で、「上限と下限値を設定したが、目標は67%削減することであり、妥協するつもりは一切ない」と強調した。一方、2024年11月13日付現地紙「グローボ」によると、批判や疑問の声も上がっている。例えば、サンパウロ大学物理学研究所のパウロ・アルタショ教授は同紙のインタビューで、化石燃料や再生可能エネルギーに関する政策の不透明さを指摘し、「今回発表されたNDCを評価するにはさらなる説明が必要だ」と述べた。

(注)シルバ環境・気候変動相は、2023年9月20日に米国ニューヨークで行われた国連の「気候野心サミット」において2030年までのNDCを発表し、GHG排出量を2025年までに2005年比で48%、2030年までに53%削減するとの目標を定めた。これらの目標に変更はない。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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