IEA、東南アジアのエネルギー見通し発表

(ASEAN、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

シンガポール発

2024年10月29日

国際エネルギー機関(IEA)は10月22日、「2024年版東南アジアのエネルギー見通し」(Southeast Asia  Energy Outlook 2024)を発表した(IEAプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。東南アジア各国が気候変動対策の目標を達成するためには、クリーンエネルギーへの投資額を2035年に現行の5倍の1,900億ドルが必要との試算を明らかにした。同予測は、未実施のものも含め、政府の発表済み公約が仮に全て実施されたAPS(Announced Pledges Scenario)の場合だ。既に公表や実施がされている政策に限定して推計したSTEPS(Stated Policies Scenario)の場合、900億ドルを超える。

東南アジアの2035年までのエネルギー需要の増加分は、インドに次いで2番目に大きく、東南アジアのエネルギー需要は2050年までにEU全体を上回る見通し(STEPSの場合)。IEAの分析によると、東南アジアのエネルギー需要増は、電力分野が牽引する。世界の電力需要が2035年まで年率3%で増大するのに対し、東南アジアは同4%で増大する。東南アジアの電力需要の増加を分野別に見た場合、住宅・ビル分野だけで増加の60%以上を占める。IEAは「家計の所得が上昇し、空調需要が高まる」との見方を示した。

他方で、IEAは、風力や太陽光などのクリーンエネルギー源が2035年までの東南アジアのエネルギー需要増加分の35%超を占めると算出(STEPSの場合)。IEAはプレスリリース(既出)で、この試算に触れた上で「2050年に現在比で35%増加すると見込むこの地域のエネルギー関連の二酸化炭素(CO2)排出量を抑制するには不十分」と指摘し、排出量削減には、クリーンエネルギーへの投資を拡大することが極めて重要だと強調した。

「東南アジアのエネルギー見通し」は「世界エネルギー見通し」(World Energy Outlook)の特別版として、2013年に初めて発表され、今回が6版目。前版は2022年に発表された。

(朝倉啓介)

(ASEAN、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

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