サブサハラ・アフリカの2024年成長率は3.6%、物価上昇は18.1%、IMF予測

(アフリカ、南アフリカ共和国、エチオピア、ナイジェリア、コートジボワール、ガーナ)

調査部中東アフリカ課

2024年10月23日

IMFは10月22日、「世界経済見通し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の最新版を発表し、世界の経済成長率は2024年と2025年はともに、3.2%との予想を発表した。

サブサハラ・アフリカ地域の成長率は、悪天候や災害による影響が和らぎ、供給の制約が徐々に緩和され、2023年に3.6%、2024年も同じく3.6%の成長となり、2025年には4.2%に加速すると予測した。4月時点と比較すると、2024年は0.2ポイント下方修正し、2025年は0.1ポイント上方修正した。2024年は、南スーダンが紛争継続によって経済が26%も縮⼩するほか、ナイジェリアの経済活動が予想を下回る見込みだ。

成長率は、ニジェールが9.9%、ルワンダが7.0%、コートジボワールが6.5%の順で高い。同地域のGDP規模上位10カ国の2024年の成長率は次のとおり(かっこ内は2025年の予測値)。

  • 南アフリカ共和国:1.1%(1.5%)
  • ナイジェリア:2.9%(3.2%)
  • エチオピア:6.1%(6.5%)
  • ケニア:5.0%(5.0%)
  • アンゴラ:2.4%(2.8%)
  • コートジボワール:6.5%(6.4%)
  • タンザニア:5.4%(6.0%)
  • ガーナ:3.1%(4.4%)
  • コンゴ民主共和国:4.7%(5.0%)
  • ウガンダ:5.9%(7.5%)

なお、世界銀行は10月14日、サブサハラ・アフリカ地域のGDP成長率は、2024年に3%となり、2025年と2026年には4%台に加速するとの見通しを示した(2024年10月17日記事参照)。

物価上昇は引き続き継続の見通し

IMFの今回の見通しによると、サブサハラ・アフリカ地域の消費者物価指数(CPI)上昇率は、2023年の17.6%から2024年は18.1%に上昇する見込みだが、2025年には12.3%まで落ち着く見通しだ。世界での金融引き締めもあり、世界のCPI上昇率は2025年までに3.5%に減速見込みだが、同地域の物価上昇は引き続き高い状況だ。

ナイジェリアでは、通貨安による輸入食品価格の上昇やガソリン価格の上昇により、インフレが続いている(2024年5月30日記事10月17日記事参照)。エチオピアでは、農業不振によって農産品価格が上昇した。コートジボワール、ガーナなど西アフリカでの天候不順や農作物病害により、2023〜2024年度の世界のカカオ供給が11%減少して、カカオ価格は20.4%上昇し、4月に過去最⾼を記録したという(2024年4月19日記事参照)。同地域のGDP規模上位10カ国の2024年の消費者物価上昇率は次のとおり(かっこ内は2025年の予測値)。

  • 南アフリカ共和国:4.7%(4.5%)
  • ナイジェリア:32.5%(25.0%)
  • エチオピア:23.9%(23.3%)
  • ケニア:5.1%(5.2%)
  • アンゴラ:28.4%(21.3%)
  • コートジボワール:3.8%(3.0%)
  • タンザニア:3.2%(4.0%)
  • ガーナ:19.5%(11.5%)
  • コンゴ民主共和国:17.8%(9.2%)
  • ウガンダ:3.5%(4.4%)

(井澤壌士)

(アフリカ、南アフリカ共和国、エチオピア、ナイジェリア、コートジボワール、ガーナ)

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