EBRD、ボスニア・ヘルツェゴビナの太陽光発電所建設に融資
(ボスニア・ヘルツェゴビナ、EU、ドイツ、オーストリア)
ウィーン発
2024年09月04日
欧州復興開発銀行(EBRD)は8月14日、ボスニア・ヘルツェゴビナの再生可能エネルギープロジェクトに対し、総額4,010万ユーロの融資を提供すると発表した。EBRDは、ボスニア・ヘルツェゴビナ最大の電力・配電大手エレクトロ・プリフレダ(EPBiH)の太陽光発電所建設に2,510万ユーロ融資する。さらに、同行はイタリアのウニクレディト銀行による1,500万ユーロの融資の実現にも働きかけた。
EPBiHは、これらの融資を中央ボスニア県ボグイノ市のグラジャニツァ炭鉱跡地の太陽光発電所の設計、建設、稼働に活用する計画だ。EPBiHにとって同発電所は、同社最大の太陽光発電プロジェクトと同時に、再エネの中で最も重要な投資の1つとなる。グラジャニツァ太陽光発電所は太陽光パネル約7万5,000個からなり、合計50メガワットピーク(MWp)の設備容量を持ち、年間約66.2ギガワット時(GWh)の電力を生産する予定だ。
ボスニア・ヘルツェゴビナは2006年に設立されたEUのエナジーコミュニティーに加盟しており、EUが定めた2030年までの温室効果ガス(GHG)排出の減少目標など、エネルギーに関する条件を順守している。2023年6月に発表されたエナジーコミュニティーの年次報告書で、ボスニア・ヘルツェゴビナは最終エネルギー消費における再エネ資源のシェアを2030年までに43.6%に拡大するとしている。その内訳として、再エネ資源のシェアを分野別に、電力(70.1%)、輸送(8.4%)、冷暖房(60.8%)と定めている。国際エネルギー機関(IEA)によると、2021年時点のボスニア・ヘルツェゴビナのエネルギー源は化石燃料に大きく依存していた。全エネルギー供給量のうち、石炭は51.1%、石油は21.9%、再エネ資源は合計24.2%だった(表1参照)。発電量についても、石炭が60.4%を占めたのに対し、水力は36.7%、風力は2.1%、太陽光0.4%だった(表2参照)ことから、脱炭素化が喫緊の課題だった。
EBRDのほかにも、欧州投資銀行(EIB)やドイツの経済協力・開発省がボスニア・ヘルツェゴビナのエネルギーシステムの転換を支援している。また、オーストリア連邦産業院も、同国の風力・太陽光発電所や、10メガワット(MW)以上の水力発電所の建設をビジネスチャンスとして挙げている。
(エッカート・デアシュミット)
(ボスニア・ヘルツェゴビナ、EU、ドイツ、オーストリア)
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