キヤノン、米バージニア州の製造施設を拡張
(米国、日本)
ニューヨーク発
2024年09月11日
米国バージニア州のグレン・ヤンキン知事(共和党)は9月6日、キヤノン(本社:東京都大田区)のグループ会社キヤノン・バージニアが同州南東部に位置するニューポートニューズ市の製造施設を拡張すると発表した。
キヤノン・バージニアは1985年に設立されたキヤノンの米国製造会社で、トナーカートリッジ、複写機トナー、金型の製造や販社サービスのサポート(カメラ修理、事務機修理・再生など)を行っている。今回の事業拡張は、食品やワクチンなどの保存などに活用が期待される天然シルクタンパク質(シルクフィブロイン)を分離する独自の製造方法を拡大するもの。長年の中核事業である画像関連製品以外で同社が初めて手がける新規事業のスタッフとして、30人の従業員を再教育する予定だ。
ヤンキン知事は「キヤノンの製品ラインアップを多様化する取り組みは、バージニア州のイノベーションエコシステムを示すものだ。われわれはバージニア州が強いビジネス環境、えり抜きのインフラ設備、一流の労働力を有することによって、キヤノンのような企業を誘致し続けていることを誇りに思う」と述べた。同州には日系企業が多く進出しており、国別進出企業数では133社の日系企業が立地し、最大の投資元国となっている。
同州にはビジネスに有利な環境が整っており、ビジネス専門メディアCNBCが発行する全米のビジネス環境を評価するランキングでは、常に上位に位置している。2024年のランキングでも全米トップとなり、同ランキングが2007年に開始以来、最多となる6回目の1位を獲得している。
米国内でも教育水準がトップレベルで優秀な人材が豊富なことや、同州北部地域はデータセンターの一大集積地となっており、全世界のインターネットトラフィックの約7割が通過するなど、優れた通信インフラを有するビジネス環境が高く評価されている。
また、同州南東部には米国東海岸で3番目のコンテナ貨物取扱量を記録するバージニア港が立地しており、国内外へのアクセスが良好な重要な物流拠点となっている。同港では2024年3月に、超大型コンテナ船(ULCV)の双方向通行が可能になる船舶水路の拡張が完成した。この拡張は、14億ドル規模の同港による戦略的インフラ投資計画の一環となっており、貨物量の増加への対応、ゲートウエーを通過する貨物の移動速度の向上を目的とする。水路の拡張と並行して、港湾では海底面の土砂と取り去る浚渫(しゅんせつ)作業も行われており、2025年秋に浚渫計画が完了すると、バージニア港は米国東海岸で最も深く広い水路を持つことになる。
(樫葉さくら)
(米国、日本)
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