EU司法裁、米アップルに130億ユーロの追徴課税を決定、アイルランドの税制優遇が背景
(アイルランド、EU)
ロンドン発
2024年09月12日
EU司法裁判所(CJEU)は9月10日、アイルランド政府による米国アップルへの税制優遇は違法だとして、同社に130億ユーロの追徴課税をアイルランドへ支払うことを命じた。
これまでの背景として、欧州委員会は2016年にアイルランドについて、1991年から2014年までアップルが米国外での活動で得た利益の税務処理に関して、EUの国家補助ルールに照らして違法な税制優遇措置を与えたと判断していた(プレスリリース)。その後、2020年にEUの一般裁判所は、アップルが優位性を享受していたことが十分に立証されていないとして、2016年の欧州委の決定を無効とした。
しかし、今回の判決では「CJEUは本件の最終判決として、アイルランドがアップルに違法な税制優遇を与えており、アイルランドはそれを追徴する必要があるとする2016年の欧州委の決定を認める」とし、2020年の一般裁判所による判決を覆すかたちとなった。今回の判決を受け、アイルランド政府は「いかなる企業や納税者に対しても、優遇税制措置は取っていない」「アイルランドは国際な租税に関する議論に積極的に参加しており、国際ルールの発展に伴い、自国の税制に必要な変更を行ってきた」とコメントしている。
アップルは1980年から、現在の欧州本社があるアイルランド・コークに拠点を置いている。欧州委は調査結果によって、同社はアイルランド当局の措置によって利益を得ており、2003年には欧州での利益に対して1%の法人税を支払っていたが、2014年は実質的に0.005%の税率を支払っていたことが判明したとコメント。報道では、アイルランドのジャック・チェンバース財務相は、今後数週間でこの資金を最も効果的に使う方法を「慎重に検討する」が、10月の予算には追加されないと述べた(「ロイター」9月10日)。
(松丸晴香、尾関康之)
(アイルランド、EU)
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