ASEAN物品貿易協定で改定交渉、ASEAN中国FTAの改正交渉は進展

(ASEAN、タイ、中国、カナダ)

バンコク発

2024年09月13日

第11回ASEAN物品貿易協定(ATIGA)改定交渉のための貿易交渉委員会(ATIGA-TNC)が8月26日から29日にかけてマレーシアで開催された。現在、ATIGAの全品目に占める関税撤廃品目の比率(いわゆる自由化率)はASEAN全体で平均98.6%だが、タイやシンガポールからは、より高い水準を目指すべく、市場アクセスの拡大を働きかける意見があったという。

加えて、論点となったのは、再生品(Remanufactured goods)をATIGAの対象に組み入れるという点だ。タイ政府としては、ATIGAが資源再活用や環境に優しい取り組みに資する点を強く支持する一方、再生品として輸入された中古製品が電子ごみにならないよう、新品のように使用できる再生品に対象を限定すべきだと主張した。また、貿易寸断など危機的な状況が起こった際に、輸出入制限が不必要に乱用されることを防ぐ方法なども議論された。

次回のATIGA-TNC会合は10月14~17日にフィリピンで開催される予定。

ACFTA改正交渉は最終局面に

ASEANと対話パートナーとの自由貿易協定(FTA)交渉では、ASEAN中国FTA(ACFTA)の第8回改正交渉が8月5日から9日にかけて、ベトナムのクアンニン省ハロン市で実施された。同会合では、(1)物品貿易、(2)投資、(3)デジタル経済、(4)法制度、(5)グリーン経済の5つの作業部会に分かれて議論が行われた。

タイ商務省貿易交渉局の8月24日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ASEANと中国の間での交渉は大きく進展し、交渉全体の90%まで進捗したという。具体的には、改正ACFTAの章立ての中で、基準・技術的規則・適合性評価手続き、衛生植物検疫措置、グリーン経済の3分野が今回の会合で妥結に至り、経済・技術協力、中小・零細企業、サプライチェーン連結性、貿易競争・消費者保護と合わせて7章は合意に至った。

双方は8月30日から9月3日までバンコクで実施された第9回交渉を最終交渉とし、9月中旬に予定されるASEAN中国経済大臣会合で交渉妥結に至るというスケジュールで合意した。

ASEANカナダFTA(ACAFTA)については、第9回交渉が8月22日から23日にかけてオンライン会議で行われた外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。貿易円滑化や自然人の移動に関するルールでは交渉が進展している一方、貿易救済措置、知的財産権、衛生植物検疫措置などで進捗に遅れが目立っている。2025年までの交渉妥結を目指し、今回の会合では作業計画の見直しが議論された。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(ASEAN、タイ、中国、カナダ)

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