アルゼンチン、メルコスールの通商交渉体制の柔軟化を提案
(アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、ボリビア)
ブエノスアイレス発
2024年09月05日
メルコスールに加盟するアルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、ボリビアの5カ国の外相は9月2日、ウルグアイの首都モンテビデオで、メルコスール外相会合を行った。この会合でアルゼンチンは、メルコスールの通商交渉体制の原則であるコンセンサス(全会一致)方式の見直しを提案した。
アルゼンチン外務省の9月2日の発表によると、アルゼンチンの提案は、具体的には加盟国のうち、新市場の開拓に関心のある国が単独あるいは複数国で先行して交渉を開始、協定を締結できるようにするというものだ。共同市場グループ(GMC)の2度の会合において第三国・地域との通商交渉の開始について議論し、そこでコンセンサスを得られない場合は、単独あるいは複数国での交渉を可能にする。そして、単独または複数国で交渉し、協定の締結に至った場合は、交渉に参加しなかった他の加盟国も協定を批准できるよう、門戸を開いておくとしている。なお、GMCはメルコスールの執行機関であり、加盟各国の外務省、経済省、中央銀行の代表などで構成され、少なくとも3カ月に1度、会合を行うことが規定されている。
現在のメルコスールの規則では、第三国・地域と通商交渉を開始するにあたっては、コンセンサス(全会一致)方式を採用している。交渉も全加盟国が一体となって行わなければならないが、韓国との自由貿易協定(FTA)交渉のように、アルゼンチンのみが特定の章の交渉に参加せず、「他の加盟国と異なる速度」で交渉しているケースもある。
今回のアルゼンチンの提案は、中国との単独でのFTA交渉の開始を目指すウルグアイの主張である通商交渉体制の柔軟化と重なる(2024年7月9日記事参照)。アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス前政権は、ウルグアイの主張に強く反対していたが、ハビエル・ミレイ政権の発足により、その姿勢は180度変わった。交渉体制の柔軟化にブラジルやパラグアイは反対しているとみられ、アルゼンチンの主張が実現するかどうかは未知数だ。
(西澤裕介)
(アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、ボリビア)
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