チェコ通信大手、プラハで中・東欧最大のデータセンター建設へ

(チェコ)

プラハ発

2024年09月20日

チェコの放送・通信大手チェスケー・ラジオテレコムニカツェ(CRA)と産業貿易省は9月12日、CRAのデータセンター建設計画への協力に関する覚書に署名した(産業貿易省プレスリリース、チェコ語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

CRAは、英国の大手デジタルインフラ投資会社、コーディアント・デジタル・インフラストラクチャーの100%子会社。現在、チェコ国内8カ所でデータセンターを運営している。今回の計画では、CRAは約20億コルナ(約124億円、1コルナ=約6.2円、9月17日チェコ国立銀行為替レート)を投資して、プラハ市郊外に「CRAズブラスラフ」データセンターを建設する。敷地面積は約5万6,000平方メートルで、2025年に建設を開始し、2027年に操業を開始する予定だ。CRAによると、データ容量は中・東欧最大で、欧州、中東、アフリカを含めた地域でも最大級のものとなる。また、施設内の電力は全て再生可能エネルギー由来のもので賄う。

CRAは、「CRAズブラスラフ」では膨大な量のデータ管理が可能であるため、人工知能(AI)、クラウドサービス、デジタルプラットフォーム、製造業などの業種の多国籍企業のニーズにも対応可能としている。同社のミロシュ・マストニーク社長は「これまでチェコ国内のデータセンターを容量不足のため利用できなかった企業を誘致できるようになる」と指摘している。また、ヨゼフ・スィーケラ産業貿易相は「この種のデータセンターの出現は、チェコのテクノロジーリーダーとしての、またデジタル分野におけるキープレーヤーとしての地位をさらに強固なものとし、さらにチェコ国内におけるデータの安全性を高め、チェコ経済を強化する」との期待を表明している。

産業貿易省との同覚書は、「CRAズブラスラフ」建設案件を同省の権限の範囲内で支援することを内容とするが、具体的な支援策には触れていない。同省は「覚書は、デジタルインフラの発展、技術部門における研究開発とイノベーションの支援、デジタルトランスフォーメーションの能力向上を目的とする将来的な協力の枠組みを提供するもの」と説明している。

なおチェコでは、CRAのほか、ドイツの通信大手のTモバイルなど数社がデータセンターを運営している(2024年9月10日付チェコ経済新聞)。

(中川圭子)

(チェコ)

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