スイス中銀、政策金利を1.0%に引き下げ、2024年のインフレ率予測を下方修正

(スイス)

ジュネーブ発

2024年09月27日

スイス中央銀行(SNB)は9月26日、政策金利を0.25ポイント引き下げ、1.0%にすると発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。この変更は翌27日から適用された。9年ぶりに利下げした3月の会合、さらに6月の会合(2024年6月24日記事参照)に続いて、利下げは3会合連続となった。とりわけ、過去3カ月間の通貨スイス・フランの上昇を反映して、スイスのインフレ圧力は前四半期と比較して大幅に減少したとし、今回の金融政策緩和にあたり、インフレ圧力の低下を考慮したとしている。

6月の金融政策評価以降の消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)は、5月の1.4%に対し、8月は1.1%と予想を下回り、スイスのインフレは現在、主に国内サービスの価格上昇によって引き起こされているとした。

SNBの新たな条件付きインフレ予測は、2024年の平均年間インフレ率が1.2%、2025年は0.6%、2026年は0.7%となり、6月の前回会合で示された予測からそれぞれ0.1ポイント、0.5ポイント、0.3ポイント下方修正された。スイス・フラン高、原油価格の下落、2025年1月からの電力価格の引き下げ発表が下方修正の要因だとしている。

インフレの先行きについては、依然として不確実性が高く、全体として、現在はインフレの下振れリスクが上振れリスクよりも大きいとの見方を示した。そのため、引き続き動向を注意深く監視し、インフレ率が中期的に物価安定と整合的な範囲内にとどまるよう、必要であれば金融政策を一層緩和するとし、政策金利のさらなる引き下げが今後、数四半期で必要になる可能性についても示唆した。

スイス経済の見通しについては、最近のスイス・フランの上昇と世界経済の緩やかな進展により、今後の数四半期は成長が控えめなものにとどまるとし、2024年のGDP成長率を1%程度と予測した。こうした環境下では、失業率は微増を続け、生産能力の利用率が若干低下する可能性が高いとの見方を示した。中期的には、徐々に改善し、2025年の成長率について、1.5%程度との予測を示した。世界経済と同様にスイス経済も大きな不確実性にさらされており、引き続き海外の動向が主なリスクだと分析している。

(田中晋)

(スイス)

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