EU、南アにグリーン水素チェーンへの支援拠出を発表

(南アフリカ共和国、EU)

ヨハネスブルク発

2024年09月13日

EUのエネルギー担当欧州委員カドリ・シムソン氏は9月8日、南アフリカ共和国のパークス・タウ貿易産業競争相、コシエント・ラモホパ電力・エネルギー相と記者会見し、南アでのグリーン水素バリューチェーン開発を支援するため、EUが総額約6億2,800万ランド(約49億9,888万円、1ランド=約7.96円、3,200万ユーロ)の資金援助を行うことを表明した。

このうち、約1億3,800万ランドは、運輸公社トランスネットが港湾、鉄道、エンジニアリング、パイプラインなど、関連施設を含む「中核事業分野のグリーントランスフォーメーション)」を進めるために用いられる。この支援により、トランスネットは2040年までにネットゼロ排出目標を達成することが期待される。

残る約4億9,000万ランドは「南アのグリーン水素バリューチェーンの構築」に用いられる。この資金は、持続可能なグリーン水素開発に向けた南ア政府の取り組みを促進・加速するためのインフラへの投資の呼び水となる役割が期待される。生産地点から輸送、貯蔵、下流産業など水素バリューチェーン全般が対象となるもようだ。これにより、雇用創出、水処理提供、グリーンエネルギーへのアクセス拡大による地域開発や経済成長促進に貢献することを目的としている。

会見でシムソン氏は「南アのグリーン水素アジェンダを支援するための私たちの協力は、グリーン移行を加速し、持続可能な開発を推進し、新たな経済的機会を創出し、この地域のより持続可能な未来を築くことを目指している」と述べた。

タウ貿易産業競争相もこの資金提供を歓迎し、南アがグリーン水素とその派生製品の主要生産国になる可能性を広げ、再生可能エネルギーと電解装置部品の生産国になることで、グリーン関連産業で世界をリードする国となることを期待していると述べた。

ラモホパ電力・エネルギー相も、同様の意欲を持つナミビアなどの国々と協力しながら、世界的なグリーン水素生産ハブになるという南ア政府の意気込みを強調するとともに、南アとナミビアはインフラと知識の共有を通じて、グリーン水素投資先としての国際的な競争力を高めることができると主張した。

(的場真太郎)

(南アフリカ共和国、EU)

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